国連で日本が提出した核廃絶決議案が採択されました。
この核廃絶決議案は、1994年に日本が「究極的核廃絶決議」を初めて国連に提案し、採択されました。その時の外務大臣は、河野洋平外務大臣でした。
それ以来、その時々の核軍縮に関する課題を織り込みながら、全面的な核廃絶を目指して、毎年、日本は核廃絶決議案を提出し続けてきました。
核軍縮全般に関する決議は日本が提出する決議の他にも新アジェンダ連合やミャンマーなども提出していますが、20年以上にわたって国際社会の異なる立場の国々から幅広く支持され続けてきたのは、日本が提出する決議のみです。
今年、核軍縮に関する課題は2つありました。
一つは北朝鮮が再び核実験を行い、また、ミサイルの発射を繰り返すというこれまでにない重大かつ差し迫った脅威の中で、現実的にどうすれば核軍縮を進めていくことができるだろうかということ。
もう一つは、核兵器禁止条約が7月に採択された中で、核兵器国と非核兵器国の間で核軍縮の進め方を巡って対立が深まり、非核兵器国の間でも、それぞれの国が置かれた安全保障環境によって立場の違いが明確になっているという課題に直面しており、こうした異なる立場の国々にどうやってもう一度、お互いに歩み寄ってもらうかということ。
核兵器禁止条約が、核廃絶の理想を掲げると同時に核軍縮・不拡散の重要性に向けた認識を国際社会に広くひろめたことは評価されるべきですが、核兵器国が一つも参加しなければ、現実的な核軍縮は進みません。
こうしたことから、日本は、今回の決議案に関して、大きく2つの目標を掲げました。
一つは、立場の異なる国々の間の橋渡しを行い、「核兵器のない世界」の実現に向けて国際社会が一致団結して取り組むための共通の基盤を提供したいとの観点から、1カ国でも多くの核兵器国に賛成あるいは共同提案してもらうことによって、核兵器国の核軍縮・不拡散へのコミットメントを再確認できる決議案にすること。
この決議案は、核兵器国にも加わってもらい、現実的な一歩を改めて踏み出せるものにすることを目指しました。
もう一つは、核兵器国に加えて、核兵器禁止条約に賛成した非核兵器国と賛成しなかった非核兵器国双方から共同提案および賛成してもらえる国を増やすこと。
その結果、今年の決議案は、深刻な北朝鮮の核・ミサイル問題の状況を反映し、不拡散や安全保障の重要性に言及すると同時に、核廃絶に向けたアプローチは様々あるが、核兵器国による削減努力とともに、すべての国々の協力と信頼の再構築が重要だという点を新たに付け加えました。
核兵器国の中からアメリカとイギリスが原共同提案国に名を連ねることに同意し、フランスが決議案に賛成し、核兵器禁止条約の賛成国・署名国のうち18カ国も原共同提案国となりました。
また、自らを取り巻く安全保障環境を理由に核兵器禁止条約に参加しなかったドイツ、イタリア、トルコ、ポーランド、スペイン、エストニア、フィンランド、ジョージア、ラトビア、リトアニアなどに加えてオーストラリアも原共同提案国に加わり、日本の他、45カ国が原共同提案国となりました。
その後も共同提案国は増え続け、最終的に77カ国となりました。
採決の結果、全体で144カ国が賛成し、(ロシア、中国、北朝鮮、シリアの4カ国が反対)、今年も決議案が採択されました。
日本は、核兵器禁止条約に参加した国々、参加しなかった国々、核兵器国などと協力しながら、「核なき世界」という共通の目標に向かって一歩一歩、現実的に歩んでまいります。
(2017年10月28日「衆議院議員 河野太郎公式サイト」より転載)