政府は10月24日、原発事故発生時に損害賠償金の一部を加盟国の拠出で補う「原子力損害の補完的な補償条約(CSC)」の締結承認案と関連法の改正案を閣議決定した。今国会中の承認を目指すという。47NEWSなどが報じた。
条約は事故発生時、過失の有無を問わず、原子力事業者が賠償責任を集中して負うとする。一方、原発メーカーは免責されるため、日本の原発輸出を後押しする環境整備との批判もある。
事故発生国には一定額(約470億円)以上の賠償を義務付け、これを超えた場合は各国の拠出金で賠償の一部を補完する国際的な賠償枠組みを構築する狙いがある。
(原発メーカー免責、輸出を後押し 補償条約を閣議決定 - 47NEWS(よんななニュース) 2014/10/24 09:21)
CSCは1997年に採択され、これまでにアメリカ、アルゼンチン、モロッコ、ルーマニア、アラブ首長国連邦(UAE)が締結していたが、条約発効には「加盟国の原子炉の熱出力が40万メガワット以上」必要だった。日本が入るとこの条件を満たすため、日本の国会承認を経て受諾すると、90日後に条約が発効されることになる。
CSCでは、原子力事業者が賠償責任を負い、原発メーカーは免責されるため、メーカー側には歓迎する声もある。一方で、日弁連は反対する意見書を表明、「事故防止への取り組みがおろそかになる」と指摘しているという。朝日新聞デジタルが次のように報じている。
「CSCが発効されないと、原発機器を安心して途上国に輸出できない」。日本の政府関係者によると、米国側は、そう気をもんでいるという。日本の大手メーカー幹部は「国内での新規建設が絶望的ななか、原発輸出に弾みがつく条約はありがたい」と話す。
一方、日本弁護士連合会は8月、「CSCの加盟はメーカーのモラルハザードを招き、事故防止への取り組みがおろそかになる」と反対する意見書を表明した。浅岡美恵・日弁連副会長は取材に「原発を輸出するために、途上国に法整備を促そうとする条約だ。福島で事故を起こした国際的な責任を果たしていると言えるのか」と指摘した。
(原発賠償条約に日本加盟へ 原発輸出加速も:朝日新聞デジタル 2014/10/24 06:43)
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