PRESENTED BY NTT西日本

「廃棄する」から「リサイクル」へ。野菜の皮も堆肥にうまれ変わる。地域で資源を循環させる新たな挑戦

食品加工工場やスーパーマーケット、給食センターで出た、野菜の皮などの「食品残渣(ざんさ)」。捨てるのではなく「堆肥」にリサイクルするという取り組みが広がっています。
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食品残渣を発酵・分解し、リサイクルセンターで堆肥にして、農家で活用される様子(左上から時計回り)
Photo by N.Y./ 提供写真

「廃棄すれば、ゴミ。リサイクルすれば資源」――。

NTT西日本グループが、野菜の皮などの生ゴミ「食品残渣(ざんさ)」を堆肥にする取り組みを進めている。

食品加工工場やスーパーマーケットなどに食品残渣を発酵・分解する装置を置き、発酵後に回収して、リサイクルセンターで堆肥に。契約農家に提供することで地域密着の循環型社会をめざす。

給食センターでも装置が活用されていると聞き、広島県の学校給食センターを訪れた。

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北広島町学校給食センター
Photo by N.Y.

給食の調理で出た「食品残渣」が「堆肥」に。資源循環の仕組みとは

広島市内から車で約1時間の場所に位置する北広島町学校給食センターでは日々、約1千食の給食を調理している。

食材は無駄が出ないように工夫して調理されるが、食べられない野菜のヘタの部分や皮などの「食品残渣」が、1日につきゴミ袋2、3袋分は出てしまう。

「日々捨てている食品残渣を、資源として有効活用することができれば」との思いで今年9月から、NTT西日本グループが提供している地域食品資源循環ソリューションを導入。

学校給食センターを訪れると、センターの一画にある専用の部屋に食品残渣発酵分解装置が設置されていた。

調理員さんはその日の給食をつくる際に出た、にんじんのヘタやさつまいもの皮などをゴミ袋に入れておき、装置の上部にある投入口から中に入れる。

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食品残渣発酵分解装置に野菜の皮などを入れる様子
Photo by N.Y.

食品残渣と一緒に堆肥化促進剤を入れると、微生物の力により発酵や分解が促進され、体積は20分の1まで減らすことができる。生ゴミと聞くと匂いがしそうなイメージだが、匂いは全く気にならなかった。

装置内で発酵や分解が進んだ1次発酵物は、回収してリサイクルセンターに運ばれ、微生物による2次発酵、3次発酵によって3ヶ月から1年かけて熟成を進め、堆肥となる。

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リサイクルセンターで堆肥を作る様子
提供写真

できあがった堆肥は、地域の契約農家に提供して農作物の生産に使われる。

また、北広島町学校給食センターのように、学校敷地内の花壇や菜園に有効活用される場合もある。

その地域で出た食品残渣を堆肥にして、農作物などを育てるために循環させるこの「地域食品資源循環ソリューション」の取り組みは、生ゴミの廃棄量削減に貢献しながら、地域経済を活性化し、循環型社会をめざす。

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「地域食品資源循環ソリューション」
提供画像

装置の導入で、食品残渣の困りごとも解決。「ゴミ」から「資源」に

北広島町学校給食センターへの導入を担当した、北広島町教育委員会・教育課学校総務係の主任主事、清水幸展さんは、調理員さんからも「操作が簡単だし、匂いもしない」とポジティブな反響が寄せられていると話す。

「学校では生徒たちも食べ残しが出ないようにし、栄養教諭や調理員もなるべく生ゴミが出ないように野菜の皮のむき方を工夫するなど、できるだけ食品残渣を出さない取り組みもしています。しかし、野菜のヘタなどの端材はどうしても出てしまいます。調理員さんもゴミとして捨てるのが心苦しいとの思いがあったそうですが、今では堆肥にすることができ、資源としていかされています」

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北広島町教育委員会・教育課学校総務係の主任主事、清水幸展さん
Photo by N.Y.

装置導入前は、食品残渣は可燃ゴミとして出していたが、収集のタイミングは週2回のみ。回収されるまでの数日の間、匂いや虫の発生など衛生管理上での懸念があったが、装置導入によりその心配はなくなった。

学校給食センターだけでなく病院や養護老人ホームなどからも出る、まとまった量の食品残渣を、町としてどう減らしていくかという課題もあったため、装置の導入に踏み出した。

装置は購入ではなくレンタルのため、初期費用が抑えられたことも自治体として導入するハードルを下げ、1次発酵物の回収や堆肥化までがセットとなっていることも大きな魅力だったという。

業務用の生ゴミ処理機は、様々な企業が製造・販売しているが、NTT西日本グループの地域食品資源循環ソリューションによる取り組みの強みは、堆肥化して地域で資源を循環させることだ。

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食品残渣からできた堆肥を使ってミニトマトを育てる契約農家
提供写真

この日の給食でも使われていたさつまいもは、近くの小学校内の菜園で育てたもの。

食品残渣からできた堆肥は校内の菜園や花壇で使うことも視野に入れており、資源の循環について授業で生徒たちに伝えることで、持続可能な社会作りについての「学び」にも繋がる。

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食品残渣発酵分解装置に食品残渣を入れる様子。近くの小学校で収穫されたさつまいもの皮も。
Photo by N.Y.

地域密着で広がる「資源循環」の輪

食品残渣発酵分解装置は現在、日本各地の食品加工工場や青果市場、スーパーマーケットなどで導入されている。

いずれの施設も、食品残渣の処理や廃棄に課題を抱えていたが、導入によりゴミの量を減らすだけではなく、リサイクルできることにも大きな意義を感じているという。「出来上がった堆肥を使って、野菜を栽培して店頭に並べたい」との声も寄せられている。

今後は、飲食店街がある商業施設や病院などでも活用されることを期待している。

広島県内での地域食品資源循環ソリューションの導入を担当してきた、NTTビジネスソリューションズの長澄絵麻さんも、社会全体でSDGsへの関心が高まる中で、食品残渣の問題に課題を感じる企業の多さを実感している。

「食品残渣について、どうにかしたいと考えている人は多くいると思いますが、一人で問題を解決することは簡単ではありません。NTT西日本グループのソリューションを活用して皆で協力し、一緒に身近なところから解決していけたらと思います」

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NTTビジネスソリューションズの長澄絵麻さん
Photo by N.Y.

地域食品資源循環ソリューションの取り組みは、「地域社会の課題を解決し、循環型社会や持続可能な社会の実現に貢献することが間接的に会社の成長にもつながる」という考えから、2019年に新しいビジネスとして立ち上げられた。

長澄さん自身、この取り組みに携わり始めた頃、ちょうど食品残渣について何かできないかと課題感を感じていた。当時、小学生だった長澄さんの子どもが、給食の食べ残しが捨てられることを心苦しく思うという声を聞いていたからだ。

社内で食品残渣に関する新ビジネスが始まると聞き、「手伝いたい」と手を挙げた。以来、広島で取り組みを広げることに奔走している。

「企業、自治体ともに、食品残渣の課題や資源循環への関心の高さは強く感じます。今後は食品加工事業者や金融機関との連携も強化し、さらに資源循環の輪を広げていければと思います」(長澄さん)

 

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多くの企業や自治体が抱える、食品残渣の課題。NTT西日本グループは同社の「お客さまの事業価値向上と地域社会の発展に貢献する」というミッションのもと、地域密着型でサーキュラーエコノミーの実現をめざす。

NTT西日本の「地域食品資源循環ソリューション」の詳細はこちらから。

 

(撮影=N.Y.)