欧州視察も最終日、フィンランドにてヘルシンキ政府関係者と会談でした。
※視察関連の一連記事はコチラから。
ここでの目的は、2012年12月から法律が制定されて導入された
「国民イニシアチブ」
制度について話を伺うこと。
5万人以上の有権者の署名で国民側から法律を提案できるという、
以前にご紹介したスイスの国民投票と基本的に同じシステムです。
不動産支給に有休増加、速度制限まで…こんなのアリ?!スイスの国民投票制度
欧州各国にはこのような国民側から発案できるイニシアチブ制度は複数ありますが、
フィンランドの先進性はなんとネットによる起案・署名集めを可能にしたことです。
世界でももっとも電子行政が進んでいるのは先にご紹介したエストニアですが、
その次を走るのはフィンランドであると言われています。国政選挙でのネット投票も
導入へは秒読みで、すでに地方選挙レベルでは実施の準備が整っているそうです。
これまでに培ったIT技術を結集して創り上げた国民イニチアチブサイトでは、
2名の代表者がいれば起案が可能で、ネット上で国民ID登録を使って署名を集めることができます。
やはりその手軽さからか、政府の予想以上に制度は国民に浸透。
スタートから2年半で350本以上の国民イニチアチブが起案・登録され、
10本が5万人以上の署名を集めて成立したようです。
そのうち1本は16万人以上の署名を集め、
先の国会で議会の議決も経て正式に法律が改正されたとのこと。
なおその改正された法律の内容は
「同性婚を法律で正式に認めること」
これは国民イニチアチブをきっかけとして
フィンランド国内で大きなムーブメントになったそうです。
素晴らしい!!
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「まだ導入して間もないが、国民の政治参加には確実に寄与した」
「発案や署名の8割以上がネットによるもの」
ということで、世界初の試みは今のところ上手く機能しているようです。
(発案された350本の内容の中には、私的なもの・微妙なものもあるそうですが…)
エストニア同様、高齢者の対策も聞いてみましたが、
シンプルな仕組みと丁寧な説明によってまったく問題なく浸透したそうで、
日本では抵抗が強くてとてもじゃないけど想像できません…と伝えると、
「あらそう。でも時間の問題よ、Take it easy!」
みたいな感じで、紙よりも便利なんだから高齢者も使えるのは当たり前という、
天と地ほどの意識・常識の差を感じました。彼らの成功が羨ましくもあり、
また正しい在り方なのだと思います。
ただし、欧州すべてがネットやITに対してこうではなく、
ドイツやフランスなどの伝統的な大国では日本同様、
「政治みたいな大切なことを、ネットでお気軽になんて…」
という意識が高齢者を中心に根強く、フィンランドやエストニアとしては
日本のような大きな国がネット投票・デジタルデモクラシーに興味を持ってくれるのは
とても嬉しいことなのだとも語ってくれました。
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技術の革新と時代の流れは不可逆的なものであり、
日本もまずは地方議会レベルの「陳情・請願」あたりから
ネットでの提出OKにしてみるべきではないかと強く感じた次第です。
説明をしてくれた、フィンランド法務省幹部の方々と。(お名前失念…)
それにしても視察すべてを通じて感じたことですが、
こちらは本当に多くの女性や若い方が局長・幹部クラスで活躍しており、
羨ましくもあり日本の現状が恥ずかしくもありました。
ともあれ、これにて視察のすべての行程が終了!
毎日ブログを更新してきましたが、まだまだ書けなかったこともあります。
折りを見て皆さまにも共有し、また自分の議会活動に役立てていきたいと思います。
先ほど成田に到着し時差ボケまったなし。
さらに休みなく明日から仕事というスケジュールですが、
今日の午後くらいはゆっくり(洗濯を)したいと思います…。
視察全体の総括は、後日あらためて。
それでは、また明日。
(2015年5月9日 「おときた駿公式ブログ」より転載)