平昌冬季オリンピックに合わせて訪韓した北朝鮮の「三池淵管弦楽団」が2月8日夜、オリンピックの氷上競技が行われる韓国北東部・江陵の江陵アートセンターで祝賀公演を行った。共同通信ニュースなどが報じた。
同公演は、全530組の定員に対して15万6000人が応募する人気となった。韓国統一省は「国民的関心が高い点を考慮」し、政府招待客を大幅に減らして枠を増やした。非公開で行われた抽選には公正を期すためとして警察官2人が立ち会ったという。
芸術団の司会者が「別れた父母、兄弟と再会したように感激しています」とあいさつして公演はスタートした。
北朝鮮の歌「パンガプスムニダ」(お会いできてうれしいです)を皮切りに、朝鮮半島の民謡「アリラン」も披露。韓国の有名な歌謡曲が次々と歌われ、ミュージカル「オペラ座の怪人」のテーマ曲や「ウィリアム・テル序曲」などクラシックの名曲も登場した。
楽団は、北朝鮮の曲を披露した際、本来の歌詞を変えて「独島(島根県の竹島)もわが祖国」などと歌った。南北問題について政治性を極力排除する一方、日本との領土問題を通じて南北融和を呼び掛ける意図があったとみられる。
北朝鮮芸術団の韓国公演は2002年8月以来15年半ぶりで、地方都市では初めてとなる。
同楽団は総勢約140人で6日に韓国入りしていた。11日にはソウルの国立劇場で公演する。
■会場近くでは、抗議デモをする人々も
江陵は朝鮮戦争で北朝鮮軍が真っ先に侵攻した地。1996年には北朝鮮の潜水艦が座礁して工作員らが上陸し、掃討作戦が展開された過去もある。
会場近くでは反北朝鮮団体が韓国国旗を振りながら「過去に例のない北朝鮮称賛の『平壌五輪』だ」と批判した。一方、大学生らのグループも「統一旗」を振り、北朝鮮の歌を歌って歓迎をアピールした。