北朝鮮の弾道ミサイルが到達した高度4000キロメートルの世界とは?

ロフテッド軌道でより高く飛ばした
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北朝鮮が11月29日未明に発射した弾道ミサイル(ICBM)は、迎撃されにくくするため、通常よりも角度を上げて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」を描いた。最高高度は4000キロメートル超。地球の上空400キロを周回する国際宇宙ステーションよりはるか上まで飛んだことになる。

高度4000キロメートルとは一体どんな世界なのか。上空で起きている様々な事象を通じて考えてみた。

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北朝鮮の大陸間弾道ミサイル「火星12」。今回打ち上げられた「火星15」はさらに技術的に進歩しているとされる
KCNA KCNA / Reuters

一般的に旅客機が飛ぶ高さだが、そもそもなぜ飛行機はこの高さを飛ぶのだろうか。

上空になればなるほど空気が薄くなり、抵抗が少なくなるので飛行機は前に進みやすくなる。かといって空気が薄くなると推進力がなくなる。エンジンに取り込んで燃料を燃やすための空気が減ることになるからだ。

空気抵抗の少なさとエンジンの推進力が最も効率的に両立する高度。それが1万メートルだ。

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雲の上を飛行するアメリカの大統領機「エアフォースワン」
Handout . / Reuters

宇宙空間が始まる高度とされ、この境界線は「カーマン(カルマン)ライン」と呼ばれる。コトバンクによると、ハンガリーの航空工学者カルマンに由来する。

カーマンライン以上では真空に近い状態になる。オーロラの下部もこのあたりに位置する。

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オーロラ=2014年9月、カナダの北極圏
Yannis Behrakis / Reuters

アメリカやロシア、日本、ヨーロッパ諸国などが運用している国際宇宙ステーション(ISS)が地球を周回しているおおよその高度。ISSは約90分で地球を一周する。

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国際宇宙ステーション(左)と地球
NASA NASA / Reuters

北朝鮮が今回発射した弾道ミサイルが到達した最高高度。大気圏の最も外側にある外気圏(500キロ~1万キロメートル)にあたり、大気の大部分は電離して自由に動き回っている空間だ。

これより外側では空気分子は重力に逆らって惑星間空間へと拡散している。

気象衛星ひまわりが飛ぶ高度。この高度では、衛星が地上に落下せずに周回し続ける速度は地球の自転速度とほぼ同一のため、衛星を地上から見ると同じところにとどまっているように見える。

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気象衛星ひまわりのイラスト
気象庁提供

朝日新聞デジタルによると、北朝鮮の朝鮮中央テレビは29日、発射したのは新型の大陸間弾道ミサイル「火星(ファソン15)」だったとし、超大型重量級の核弾頭装着が可能で、アメリカ本土全域を攻撃できるとしているという。

ロフテッド軌道で北朝鮮がミサイルを発射したのは今年に入って4回目で、今回が最も高く到達した。北朝鮮のミサイル技術が進展していることをうかがわせる。

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