北朝鮮の弾道ミサイル発射実験を受けて日本政府が独自制裁を強化したことに対抗し、北朝鮮は日本人拉致問題の調査を全面中止することになった。北朝鮮は2月12日、拉致被害者を含む日本人行方不明者の調査を全面中止し、調査を担当していた「特別調査委員会」を解体することを発表した。朝日新聞デジタルなどが報じた。
■破棄されたストックホルム合意とは?
2014年5月のストックホルムで開かれた日朝両政府の協議で、日本が北朝鮮に対する制裁を一部緩和することと引き換えに、北朝鮮が拉致被害者を含む日本人の再調査の実施に応じる「ストックホルム合意」が結ばれた。日朝双方は、北朝鮮が2014年秋ごろまでに最初の調査結果を日本に通報する方向で調整したが、未だに実現していない。
今回の日本の独自制裁のうち、北朝鮮籍者の入国禁止や在日北朝鮮当局者らの再入国禁止などの措置は、ストックホルム合意に基づき解除したものを復活させたものだった。これに北朝鮮は激しく反発。ストックホルム合意を破棄することになった。毎日新聞は、北朝鮮の主張を次のように伝えている。
「政府間会談で成し遂げられた合意まで破棄する日本政府の背信行為に対し、我々は極度の嫌悪感と湧き上がる憤怒を禁じることができない」と批判した。
また「すべての日本人に関する包括的調査を幅広く行い、誠意と努力を尽くした」と、調査を進めていたことを強調。合意と関係ない問題を理由に制裁を決定したとして「(日本)自らがストックホルム合意の破棄を公言したことになる」と主張した。
(北朝鮮:拉致調査中止、特別委員会を解体 日本制裁に反発 - 毎日新聞 2016/02/12 22:19)
日本の外務省関係者は、NHKの取材に対し、「日本政府としては、おととしのストックホルムでの日朝間の合意を破棄することは全く考えていない。北朝鮮による一方的な宣言は極めて遺憾であり、すべての拉致被害者の帰国を目指して、北朝鮮側に引き続き誠意ある対応を求めていく」と述べた。
また、拉致被害者家族会の飯塚繁雄代表は「調査の中止は日本が独自の制裁を決めた段階で予測されていた事態だ」と話している。
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