制裁の効果

北朝鮮がいよいよ対話を求めてきました。
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POOL New / Reuters

北朝鮮がいよいよ対話を求めてきました。

国際社会全体による経済制裁に耐えられなくなってきたのでしょう。

これまで日米韓三カ国は緊密に連携しながら中露両国の協力も得て、北朝鮮に対する経済制裁をかつてないほど強化する国連安保理決議を実現してきました。

国連安保理決議が完全に履行されれば、北朝鮮の貿易による外貨収入はほぼ枯渇し、石油精製品の輸入は2017年初頭に比べて89%削減されます。

外貨収入の柱の一つであった海外の北朝鮮労働者も、続々と受け入れ国からの送還が始まっています。

さらに日米韓、EUをはじめ多くの国々が、連帯して、国連安保理決議を超えて、北朝鮮への更なる圧力を呼びかけてきました。

国際社会の中には、例えばヨルダンのように北朝鮮と断交した国もあります。

その他にもUAE、クウェート、ペルー、スペインをはじめ多くの国々が、自国の大使を召還したり、また、北朝鮮の大使を追放または受け入れないといった措置を取ってきました。

アメリカ、日本、韓国、中国といった六者会合の国々だけでなく、ラトビアのような地理的には北朝鮮から離れている国々も、これは国際社会全体への挑戦だと独自の制裁を実施してきました。

北朝鮮は、今でも、瀬取りやサイバー攻撃、偽装された貿易など巧妙な制裁逃れを様々に試みています。

こうした手口に関する情報も、しっかりと国際社会で共有してきました。

ドミニカのように自国船籍の船が瀬取りに使われた国々も、そうした情報に接するや否やそれらの船舶の登録を抹消するなど、国際社会あげて、北朝鮮に対する圧力を最大限にするための努力を続けてきました。

アメリカのペンス副大統領も声明を出しています。

「全ての弾道ミサイル及び核実験を停止する一方で、非核化について議論するために会談したいという北朝鮮の希望は、金体制を孤立化させるとのトランプ大統領の戦略が機能していることの証左である。北朝鮮は、米国による譲歩がゼロであるにもかかわらず、話合いの場に来ている。また、我々は同盟国と緊密に協力しながら金体制への圧力を一貫して高めてきた。我々の決意は不屈であり、我々の政策は同一である。すなわち、全ての制裁は維持され、最大限の圧力攻勢は、北朝鮮が核計画の終了のために具体的な、恒久的な、かつ、検証可能な措置をとるまで続く。」

中国、ロシアを含めた国際社会の強い連携があったからこその成果です。

国際社会が一致して、北朝鮮を非核化に向かわせるために圧力をかけ続けてきた一方、国内外には、圧力をかけるのではなく対話をするべきだという主張があったのも事実です。

例えば二つの勢力が内戦を戦っているようなときならば、対話で内戦を終結させるということもあり得ます。

しかし、今回のように北朝鮮が一方的に国連安保理決議などに違反して核実験、ミサイル発射を繰り返しているときには、単なる対話では解決しません。

北朝鮮には、譲歩する必要性が何もないからです。

譲歩する必要がない北朝鮮とそのまま対話をしていても、核開発の時間稼ぎに使われるだけです。

だからこそ北朝鮮に対する経済制裁を強めることで、北朝鮮から核・ミサイルの放棄を言い出させるしかありません。

圧力を高めれば北朝鮮が暴発するからそんなことをするべきではないなどという主張がありました。

それこそ北朝鮮の思うつぼです。

北朝鮮に核実験、ミサイルの発射を凍結させる代わりに、米韓合同軍事演習を凍結するダブルフリーズをするべきだという主張もありました。

中国やロシアが主張していましたが、日本でも一部の政党、議員、「評論家」が同様の主張をしていました。

北朝鮮の核実験やミサイル発射は国連安保理決議に違反する一方で、米韓合同軍事演習は国際的にも何ら問題はありません。

これを同じように天秤にかけること自体、間違っています。

悪いことをしている者に、悪いことをするのをやめれば褒美を与えるといっているようなものです。

国際社会がしっかりと連携してきたからこそ、北朝鮮が膝を屈したのです。

ペンス副大統領の声明にもあるように、北朝鮮への圧力は北朝鮮が核とミサイルの開発を終了させるために完全な、不可逆的な、そして検証可能な措置を取るまで続きます。

そして、北朝鮮情勢がめまぐるしく動く中、日米韓三か国の間の連携が一層重要となっています。

3月9日の日米首脳電話会談等を通じて、日米は100%共にあることで一致しています。

更に今般、訪日した徐薫(ソ・フン)韓国国家情報院長から、韓国の特別使節団と北朝鮮とのやり取り等について相当詳細な説明を受け、今後の対応方針について日韓両国間で綿密なすり合わせを行ったところです。

引き続き、南北、米朝首脳会談に向け、日米韓三か国の間で、4月初旬の安倍総理訪米を含め、あらゆる機会を通じて緊密に連携し、核・ミサイル、拉致問題の解決のためにしっかり取り組んでまいります。

(2018年3月16日「ごまめの歯ぎしり」より転載)