「女子の制服、スカート禁止」は男女平等?それとも押しつけ?

「統一すべき」か「選択肢を増やす」のか。それが問題だ。
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イギリスの学校が導入した校則が、物議を呼んでいる。

この学校はイーストサセックス州にある「プライオリ・スクール」で、11~16歳の生徒が学んでいる。

同校は、9月から制服のスカートを廃止し全ての生徒にズボン着用を求めると発表した。

新制度では全ての生徒がシャツ、ネクタイ、セーター、ズボンを着用するよう求められる。プライオリ・スクールの公式サイトには次のように説明されている。

2017年9月から、全ての新入生は新しい制服の着用が求められます。

この制服は、親や生徒、職員からの懸念や提案を元にデザインされており、特に不平等と良識の問題を考慮しています。

これまでの制服より洗練され、着心地も良く、手頃な値段の制服になって欲しいと願っています。

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PRIORY SCHOOL
プライオリ・スクールのウェブサイトに掲載されている制服のイラスト。

同校は新制服は「全ての生徒が着用できる男女平等の制服」だとしている。

ズボンはグレーのフォーマルタイプに限られ、その他のおしゃれなパンツやチノパン、ジーンズ、カーゴパンツは認められていない。

夏は暑いため、シャツの代わりにポロシャツを着用できる。特に暑い日は、ショートパンツも認められる。

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PRIORY SCHOOL
暑い日は、ポロシャツとショートパンツの着用が認められる。

9月から同校に入学する新入生は、必ず新制服の基準に従わなければいけない。新入生以外はこれまで通りの制服も認められているが、なるべく新制服を着るよう推奨されている。

同校のトニー・スミス校長によると、ズボンに統一した理由のひとつはトランスジェンダー生徒への配慮だ。スミス氏は地元紙アーガスに以下のように語っている。

「生徒たちから、なぜ男子はネクタイを着用しなければいけないのに女子は着用しなくてもいいのか、なぜ女子生徒の制服は男子と違うのかという声があがっていました」

「だから私たちは、YEAR7の生徒から全ての生徒に同じ制服を導入することにしました」

「もう一つの理由は、トランスジェンダーの生徒たちへの配慮です。トランスジェンダーの生徒は、今は少数ですがその数は増えています。同じ制服の導入は、彼らにとっては大きな意味があります」

男女平等と性的マイノリティへの配慮という目的のために導入された新制服だが、決定には賛否両論ある。

賛成する親のひとりはBBCのインタビューで「学校はファッションショーではなく学ぶ場なのだから、ズボンでも良いと思う」と答えた。

また、トランスジェンダーのサポート団体「マーメイズUK」のスーザン・グリーンCEOも、「男女平等の制服導入は、自分の性別に悩む生徒を助けるための一つの方法です」とコメントしている。

一方、反対の立場をとる母親のひとりはアーガス紙にこう語る。

「私の娘は、自分は女の子でありと自覚し、それを誇りに感じています。彼女にとって、自分のジェンダーを選べるのはジェンダー平等において大切なことです」

「母親として、スカートを履きたい女の子はそれを認められるべきだと思います。男の子にスカートの着用を認めていない状況では、男女平等とはいえないと思います」

この女性の11歳の娘は「女子の体と男子の体は違います。私は女子はスカートを履く権利があるべきだと思います。選択肢があるべきです」と書いた手紙を、スミス校長に渡した。

学校が、平等やマイノリティへの配慮を具体的な形で実践するのは素晴らしいことだ。しかし、それを「一つの回答」を設けて進めるのか、「選択肢」を設けるべきなのか、意見はわかれるのかもしれない。

ちなみに日本の場合、「女子の制服はスカート」という印象が強いが、ズボンとスカート両方の選択肢を設けている学校もある。

東京都立南葛飾高等学校では平成29年度から、それまでスカートだけだった女子の制服に、スラックスも加えた。同校の担当者によると、この決定はスラックス導入は要望があったためで、実際何人かの生徒はスラックスで登校しているという。