スタジオジブリ元幹部の発言に「男女差別」と海外で批判 何を言ったのか?

スタジオジブリのアニメ映画「思い出のマーニー」(2014年)などでプロデューサーを務めた西村義明さんの発言が、性差別的ではないかと、海外で波紋を呼んでいる。
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スタジオジブリのアニメ映画「思い出のマーニー」(2014年)などでプロデューサーを務めた西村義明さんの発言が、性差別的ではないかと、海外で波紋を呼んでいる。

西村さんは「ハウルの動く城」や「崖の上のポニョ」などでのスタジオジブリの宣伝担当を経て、「かぐや姫の物語」からはプロデューサーを務めている。イギリス紙「ガーディアン」が6月6日、インタビュー記事を以下のように掲載した。

果たしてジブリは、女性監督を起用するだろうか。西村はこの質問に対してきっぱりと、次のように言った。

「それは映画の種類によります。実写と違って、アニメでは現実世界をデフォルメする必要があります。女性は現実的な傾向があり、日々の生活をやりくりするのに長けています。一方、男性は理想主義的な傾向があります。ファンタジー映画には、そうした理想主義的なアプローチが必要です。そうした映画に男性監督に起用されるのは偶然だとは思いません」

'Women are realistic, men idealistic': Studio Ghibli on why a director's gender matters | Film | The Guardian 2016/06/06)

同じくイギリスのインディペンデント紙は7日、このインタビューを引用した上で「このような発言にも関わらずスタジオジブリは、女性の活躍を前面に出す映画で良く知られています」と皮肉交じりに報じた。

また、アメリカのテック系メディア「The Verge」は8日、「日本には寿司の板前は男性に限るといったような男女差別が根強く残っている」「西村氏のコメントで非常に不快なのは、男女の固定観念にしばられているという点だ」と強く批判した。

アメリカでは、2007年から2014年にかけて人気上位の映画700本のうち、女性監督によるものはたったの1.9%だという調査結果が発表されるなど、映画業界の男女格差が問題視されている。

■西村義明さんは、どんな人?

映画紹介サイト「cinemacafe.net」によると、西村さんは1977年、東京生まれ。アメリカ留学後の2002年、スタジオジブリに入社した。入社当初は「著作権や法務を扱う部署で、ひたすら契約書のファイリングをしていた」という。

その後、「ハウルの動く城」「ゲド戦記」「崖の上のポニョ」といった作品の宣伝に参加した後に、「かぐや姫の物語」と「思い出のマーニー」ではプロデューサーを務めた後に、アニメ会社「スタジオポノック」を設立した。

ハフポスト日本版の電話取材に対して、スタジオジブリは「西村さんは2014年末ごろにスタジオジブリを退社しているためコメントできない」と回答した。

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