任天堂4年ぶり営業黒字化へ、WiiUは引当てで「逆ざや」解消

任天堂
Open Image Modal
Reuters

[大阪/東京 7日 ロイター] - 任天堂

WiiUの今期の販売計画は360万台(前年同期は272万台)にとどめた。2012年11月に発売したWiiUは、製造原価が販売価格を上回る逆ざやに悩まされてきた。

ただ、大阪市内での記者会見で岩田聡社長は、今期に販売するWiiUについては「前期中に未実現損失の手当てはしてあるので今期に損は出ない」と説明した。前期中にハードの逆ざやの損失をすべて引き当てて、今期は売れ残りを販売すれば、新たな逆ざやは発生しない。WiiUは拡大路線よりも利益確保にシフトする。

<WiiU販売計画「背伸びせず」>

WiiUの累計販売は3月末で617万台にとどまった。前期は期初計画では900万台を目指していたが、年末商戦の不振を受けて今年1月に280万台に下方修正。3月末の結果はこれにも届かなかった。

ソニー

WiiUは今期で3年目。5月に全世界で発売予定の「マリオカート8」、今冬の「大乱闘スマッシュブラザーズ」など有力ソフトを投入し、ハード販売の弾みとする構えだが、今期の台数計画は「背伸びをしないで設定した」(岩田社長)。「大ヒット」となった「Wii」は2年目の販売台数が1861万台、3年目に2595万台を販売。「失敗」と呼ばれた「ゲームキューブ」ですら、2年目に576万台、3年目に502万台を販売したため、今期のWiiU販売は見劣りする。 岩田社長は「いまできることは、WiiUの事業で損が出ないようにすることだ」と強調し、無理な普及を目指さずに、1台あたりのソフトの本数を増やして利益を高めていく考えを示した。このため、WiiUの値下げについては「考えている訳ではない」という。  エース経済研究所の安田秀樹アナリストは「WiiUの挽回は難しいということを認めた計画で、コスト重視の姿勢が読み取れる」とする。ただ「ゲーム機は年1000万台レベルの高い販売目標を出さなければ、他社からソフトが集まらなくなる」とも述べ、WiiUの事業モデルの厳しさを指摘している。

<3DSはソフト拡大で回収へ>

一方で、今期の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の販売計画は1200万台とした。14年3月期の販売は1224万台。11年2月の発売以降、今年3月末までの累計販売が4333万台に達した。

04年11月の発売から1億5000万台超を売り上げた「DS」には遥かに及ばないが、3DSも一定の普及規模に達したことから、今期はソフト販売の拡大で収益の確保を図っていく構え。

15年3月期の売上高は前年比3.2%増の5900億円、当期純損益は200億円の黒字(前年同期は232億円の赤字)を計画。岩田社長は「堅めに見込んだ」と述べた。ただ、会社の営業利益予想の400億円は、ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト18人の予測平均203億円を上回った。15年3月末の為替レートは、ドル100円、ユーロ140円に設定した。14年3月末はドル102.92円、ユーロ141.65円だった。

(村井令二、長田善行 編集:内田慎一)

関連記事