日経平均1万4000円回復も、参院選まで様子見の声【争点:アベノミクス】

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AFP時事

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ただ、買いの主体はショートカバー。アベノミクスへの期待は一服しており、海外勢を含め多くの投資家は様子見姿勢を続けている。市場では参院選後の成長戦略第2弾を見極めたいとの声が多く、商いは薄く盛り上がりは乏しい。

<ショートカバー中心の急反騰>

4営業日で1264円という日経平均の上昇ピッチは、昨年11月半ばからの上昇局面においても、ほとんどみられなかったスピードだ。日銀が4月4日に「異次元緩和」を決定する前の4月2日から8日までの4営業日での上昇幅1189円(1万2003円から1万3192円)を超える。

一方、2日の東証1部売買代金は2兆3533億円。平均約3.9兆円の売買があった5月と比べ、市場のエネルギーは大きく減少している。

中国の不安後退という外部環境の好転はあるものの、特段ポジティブな材料が見られず、商いも薄い中で急反騰した主要因は、売り方のショートカバーだ。「売りが引いただけで買いが増えたわけではない。依然としてショートカバーが中心だ。海外勢がどんどん上値を買っていった急落前とは様相が異なる」(外資系証券トレーダー)という。

日経平均は5月23日に付けた高値1万5942円から約3週間で約3500円下落。急落過程でショートポジションを構築した短期筋も多かったとみられている。

この先、1万4000円からは戻り売りも出てくると予想され、一段高を目指すには売買ボリュームの増加が欠かせないと、みずほ証券エクイティ調査部シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏は指摘する。「リバウンドの速さに戻り売りも遅れていたが、これから出てくるだろう。日本は6月日銀短観で示されたようにファンダメンタルズは堅調。だが、ボリュームが膨らまないと戻り売りをこなして上値を目指すのは難しい」という。

<海外勢は成長戦略第2弾に注目>

6月日銀短観で、中堅・中小企業まで景況感改善の広がりがみられるなど日本のファンダメンタルズは悪くない。「外国人投資家は中国などアジア圏のリスクを考慮しつつも、堅調な国内景気を背景に日本株を見直す動きが広がっており、中長期の資金流入が観測されている」(BNPパリバ証券の日本株チーフストラテジスト、丸山俊氏)との指摘もある。

ただ、昨年11月半ばから5月までに約10兆円、日本株を買い越した海外投資家は、5月23日の株価急落後、買いが一服している。東証のデータによると、外国人投資家は6月2日以降、22日まで2812億円の買い越しとなっているが、売り越しの週もあるなど、急落前と比べるとペースは鈍化しており、市場エネルギー減少の主因となっている。

ある独立系の国内ヘッジファンドは、最近、海外投資家向けの営業担当を2人採用し、欧米を中心に日本株の営業を始めた。すでに5─6件引き合いがあったが、依然として様子見の投資が多いという。「アベノミクスの本丸である成長戦略が、参院選後にどう本格的に打ち出されるか、海外長期投資家はみている」と同社の日本株担当のアナリストは話す。

<ドル100円以下では業績上積み期待広がらず>

日経平均の上値追いを抑えているもう一つの要因が、上値の重いドル/円だ。この日も99円後半まで上昇したものの、100円大台を前に跳ね返されている。日経平均は5月29日以来の1万4000円回復となったが、ドル/円は当時、100円後半から102円半ばで推移していた。

ニッセイ基礎研究所シニアエコノミストの上野剛志氏は、ドル/円の上値が重い理由について、米国の量的緩和第3弾(QE3)縮小が完ぺきな円安要因ではないということが5月下旬以降に意識され、中国の金融不安も材料になったと指摘する。「市場が動揺したり警戒感を強めると円高に振れやすいので、一方的に円売りを積み上げるのに躊躇(ちゅうちょ)が出てくる」という。

6月日銀短観における2013年度の想定為替レートは、1ドル=91.20円だった。足元の99円レベルからは円高水準であり、輸出企業の業績の上方修正要因だ。ただ、ドル/円は5月後半に103円台まで上昇。「100円超の円安はすでに織り込んでしまった。大台を超えてこないと、企業業績の上積み期待は広がってこない」(大手証券トレーダー)という。

[東京 2日 ロイター]