第91回アカデミー賞授賞式の中継番組で、女性アスリートたちを取り上げたナイキの印象的なCMが放送された。
「Dream Crazier」と題したCMは、「もし私たちが感情を表に出せば、感傷的だと言われる」というテニスのセリーナ・ウィリアムズのナレーションで始まる。
「男性と張り合えば、イかれてる」
「男女の機会均等を望めば、あり得ない」
NIKEは「Dream Crazier」について「様々な障壁を乗り越え、パフォーマンスを通して人々を結びつけ、夢を追いかけてきた世代のアスリートに注目した」と説明する。
今回のCMは「この夏にフランスで行われる女子サッカーワールドカップに先んじた、スポーツにおける女性の祭典の始まり」という。
動画には、1967年にボストンマラソンに参加した最初の女性、キャサリン・スウィッツァーさんも取り上げる。性別を隠して参加したスウィッツァーさんは、レース中に大会関係者から妨害を受けても走り続けた。
「でも、かつては、女性がマラソンを走るのはクレイジーだと言われていた」
さらに、WNBAで初めてダンクシュートを決めたリサ・レスリーさん、ヘジャブを着用して戦う姿が話題となったフェンシング女子のイブティハージ・ムハンマド選手、リオ五輪金メダリストの体操シモーヌ・バイルズ選手も登場する。
「女性がダンクシュート?クレイジーだね」
「ヒジャブを着て戦う女性?クレイジーだよ」
「グランドスラムを23回優勝し、子どもを産んで復帰するのも…」
「だから、もし誰かがあなたをクレイジーだと言っても。いいわ。クレイジーな奴に何ができるか見せてやろう」
CMは、セリーナのアルトボイスによるメッセージとともに、「Just do it(やってやる)」というナイキのスローガンで終わる。
社会派メッセージのナイキCM、過去にも…
2018年のアカデミー賞でも、NIKEはセリーナ・ウィリアムズを起用し、「”間違った生き方”なんてない」というCMを流した。この時は「国際女性デー(3月8日)が近づいていることもあり、男女の平等を訴えるメッセージを発信」する意図があったという。
社会的、政治的なメッセージをアスリートたちの生き様を通して発信する手法はナイキの得意分野でもある。人種差別に抗議するため国歌斉唱中にひざまづいたNFLサンフランシスコ・49ers(フォーティナイナーズ)の元クオーターバック、コリン・キャパニックさんを起用した広告も話題となった。