スポーツ用品大手NIKE(ナイキ)をめぐり、アメリカ国内で大論争が起きている。同社が、スローガン「Just Do It」の30周年を記念する広告キャンペーンの顔として、NFLの試合で国歌斉唱中に起立することを拒否した選手、コリン・キャパニック氏を起用したためだ。
▼キャンペーン広告の写真
何かを信じろ。たとえそれがすべてを犠牲にすることを意味しても。
キャパニック氏は、人種差別問題への抗議を表明するために片膝をつく行為を実施した。
Twitterでは、キャパニック氏の起用を賞賛する声が多数寄せられている一方で、一部のユーザーがナイキの商品を壊したり、火を付けたりする動画や写真を投稿。同社の決断に反発するコメントも見られ、大きな波紋を呼んでいる。
キャパニック氏は、NFLの2016年シーズンに、人種差別に抗議するためアメリカ国歌斉唱中に両腕を組んでひざまずき、人種の不平等と警察の暴力に対して抗議を続けた。
本人は、「黒人や有色人種を抑圧するような国の国旗に敬意は払えないので起立はしない」とその理由を語っている。
この出来事に触発されたほかの選手らが次々と同調。全米で大きな議論が巻き起こり、保守派の間では選手の処分を求める声が上がり、賛否が割れる社会問題に発展した。
キャパニック氏は2017年3月、フリーエージェントになって以来、チームとの契約に至っていない。キャパニック氏は、人権運動のせいでオーナーたちが契約を拒んでいると批判していた。
企業やブランドは、しばしば顧客離れを恐れて政治的な立場を表明するのを避けようとする。ナイキは、同社の重要なキャンペーンにキャパニック氏を広告に起用することで、そのポジションを表明したことになる。
そのため、Twitterにはナイキの靴下やスニーカーなどの商品をハサミで刻んだり、火をつけたりする過激な写真や動画を投稿する人も見られた。
一方で、こうした投稿には、「ハサミの使い方が間違っている」と皮肉るコメントや、「キャパニック氏はアメリカ国旗や国歌に抗議をしたわけではない」と指摘する声が寄せられている。