「政治への配慮」がこのところ目立つNHKが「配慮しすぎて萎縮する」自治体を独自にニュース報道

NHKのニュース、とりわけ看板ニュース番組の「NHK ニュースウォッチ9」が露骨に「安倍政権への気づかい」を見せていて、特定秘密保護法の問題なども実体部分には踏み込まない表面的な政治部ニュースに終始していることは、「テレビ報道」ウォッチャーとして断言してもよいほどだ。
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NHKのニュース、とりわけ看板ニュース番組の「NHK ニュースウォッチ9」が露骨に「安倍政権への気づかい」を見せていて、特定秘密保護法の問題なども実体部分には踏み込まない表面的な政治部ニュースに終始していることは、「テレビ報道」ウォッチャーとして断言してもよいほどだ。

籾井勝人会長の就任で、防衛、治安、領土などをめぐる報道がトップ項目に来る頻度も目立って増えてきている。安倍首相が発言している映像の露出が毎日のようなあり、不自然さが目立つようになったことは多くの人間が認めるところだ。

NHK会長の放言について、当のNHKのニュースでは詳しく放送できない。

従軍慰安婦についてニュースにする際は、アナウンサーのコメントに「いわゆる従軍慰安婦」と「いわゆる」が必ずつく。

世間では、原爆を描いたマンガ「はだしのゲン」の撤去が全国で広がり、脱原発や護憲をテーマにした講演会に自治体の後援がキャンセルされたり、公民館などの公的な施設を貸してもらえない傾向が広がっている。土佐電鉄の路面電車で毎年の憲法記念日に続いてきた「平和憲法」の意義を訴える意見広告も今年はなくなるという。

なんだか、世の中が急にモノを言いにくい世界へと変貌しつつある。

なんだか、世の中、とても息苦しい。

自由に報道するが身上のメディアだって、NHKを筆頭になんか「政治への配慮」の中で、多くの人たちが本心を口に出来ない。

そうした中で、NHKの報道マンたちの「意地」を久しぶりに感じさせるニュースがあった。

(4月21日 19時27分)

"政治的中立への配慮"が相次ぐ

憲法や原発など国民の間で議論が分かれているテーマを取り上げた講演会や展示会などについて、各地の自治体が「政治的中立を保つ」として内容の変更を求めたり、後援の申請を断ったりするケースが相次いでいることがNHKの取材で分かりました。

これは、NHKが全国の都道府県と県庁所在地の市、東京23区、それに政令指定都市の合わせて121自治体を対象に調査した結果、分かったものです。

それによりますと、昨年度開かれた講演会や展示会などについて「政治的中立を保つ」として、施設の貸し出しを断った自治体が1つで合わせて2件、内容の変更を求めた自治体が5つで合わせて6件、後援の申請を断った自治体が14で合わせて22件となりました。

さらに、これらとは別に「県の政策と一致しない」として催し物の後援を断った自治体も1つあります。

これらをテーマ別に見ますと、憲法に関するものが11件、原発に関するものが7件と全体の6割を占め、そのほかTPPや介護、税と社会保障などとなっています。

また最も件数が多かったのは、後援の申請を断ったケースですが、その多くは「名義後援」と呼ばれ、催し物のチラシに自治体名を入れたりチラシを公共施設に置いたりすることを認めるものです。

かつて後援していた憲法や原発に関する催し物について昨年度は後援を認めなかったケースも、3つの自治体で1件ずつありました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140421/k10013915271000.html |NHK WEB ニュース

肝心のNHKのこと、あるいは、メディアやジャーナリズムのあり方を問うものではない。

けれど、それでもこんな世の中でなりつつあっていいんですか、というニュースをちゃんと送り出した意義は大きい。

自分たちで各自治体に調査をした一種の調査報道でもある。

私自身はこのニュースを見て、ちょっと「感動」した。

「テレビ記者の魂」を久々に見た。

この記事で出てくる「政治的中立への配慮」に過敏な自治体の姿は、NHKの姿の二重映しでもある。

記者がそのことを意識しなかったわけはない。

ところがどっこい生きている!

板垣死すとも自由は死なず!

トップがどうでも、ジャーナリズムは死なず!

拍手喝采!

(2014年4月22日「Yahoo!個人」より転載)