エイプリルフールなのか?
それとも一種の「自虐ネタ」のジョークのつもりなのか?
その時、会場にいた人間によると、その意図が分からずに一瞬、呆然としたという。
4月1日が各企業で入社式が行なわれたが、NHKの入局式でも籾井勝人会長がまたしても話題になる発言を放った。
朝日新聞の記事がネットで話題になっている。
NHK会長「1人の行為で信頼全て崩壊」 入局式で訓示
就任会見での政治的中立性を疑われる発言が問題になっているNHKの籾井勝人会長は1日、新入局員の入局式での講話で、「(就任)初日に記者会見を行った際、質問に答えて個人的な意見を言い、大きく報道されました。入局前の皆さんには、ご心配をかけたことと思います。たいへん申し訳ありません」と話し、謝罪した。
その後、NHKが受信料によって成り立っていることに触れ、「職員全員が信頼や期待を積み重ねていったとしても、たった1人の行為がNHKに対する信頼のすべてを崩壊させることもあります。自らの行為の、NHKや日本の社会に与える影響や責任の重さは、昨日までとは全く違うことを、しっかりと自覚していただきたいと思います」と話した。
出典:朝日新聞デジタル
よくぞ、言ったものだ。
「職員全員が信頼や期待を積み重ねていったとしても、たった1人の行為がNHKに対する信頼のすべてを崩壊させることもあります」
NHKについては、今年1月に籾井氏が会長に就任して以来、「従軍慰安婦はどこの国にもあった」「オランダにも飾り窓がある」などに始まる一連の発言を始め、就任時に全理事に辞表を提出させるなど、報道機関のトップとして適格性を疑われる言動が明らかになった。
籾井氏の会長就任と歩調を合わせて、NHKのニュース報道が「安倍政権への気づかい」がとても目立つようになっている。
意識が高い職員のがんばりで放送そのものへの信頼は依然高いものの、報道などの分野では「NHKに対する信頼を崩壊させる」状態が日々進行している。
国会でも連日、追及され、決め手に書く野党の質問をかわしてNHK予算も成立させて当面の危機は乗り切ったが、放言癖は相変わらずだ。
そんななかで新入局員に向けて訓示した「たった1人の行為がNHKに対する信頼のすべてを崩壊させる」という発言。
「よく言うよ」
「それはアナタ自身のことでしょう?」
そう感じた人たちは少なくなかったと聞いた。
「エイプリルフールのつもりなのか、ブラックジョークのつもりなのか、一瞬、真意が分からず、みんな押し黙って聞いていました」
(訓示の現場にいた職員)
ざっくらばらん、が身上の籾井氏のことだから、自分のことを意識した「自虐ネタ」、一種のブラックジョークだったのかもしれない。
新入局員への訓示では、NHKが視聴者からの受信料によって運営されていることを強調したという。
渋谷にあるNHK放送センターの外では「NHKの信頼を取り戻すために籾井会長を辞めさせるしかない」と、NHKの名だたるOBたちが受信料を直接払わずに供託するような形の「受信料不払い」運動を計画している。
この運動が始まったても、よほどの広がりを見せない限り、籾井会長は居座りを続けるだろう。
国会での答弁を見ていても、追及する野党議員が感情的になって声を荒げても、うすら笑いを浮かべて官僚的な答弁に終始する余裕も出てきた。籾井氏の厚顔さは超人的と言ってもよいレベルだ。ここまで批判されてもビクともしない。最強の神経の太さかもしれない。
自分のことまで「自虐ネタ」にしてしまえるとしたら、この人物を引きずり下ろすことは並大抵のことではできない。
大変な人物が公共放送のトップに座ったものだ。
(2014年4月2日「Yahoo!個人」より転載)