人種差別抗議を支持しなかったNFL、自らの過ちを認めて謝罪「私たちが間違っていた」

選手の声に耳を傾けたいと述べるも、コリン・キャパニック氏についてのコメントはありませんでした
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「私たちは間違っていた」――人種差別に抗議する選手たちを支持してこなかったNFL(プロアメリカンフットボールリーグ)のコミッショナーが、リーグのこれまでの姿勢を謝罪した。

コミッショナーのロジャー・グッデル氏は、6月5日にTwitterに投稿した動画で「私たちNFLは、人種差別と黒人に対する組織的な抑圧を強く非難します」という声明を発表。

同時に、選手たちの声に耳を傾けなかったリーグの姿勢を謝罪し、誤りを認めた。

「私たちNFLは、NFL選手たちの言葉に耳を傾けなかったことが間違っていたと認めます。そして全ての選手が抗議の声をあげ、平和的に抗議することに賛同します」

「私たちはBlack Lives Matter(黒人の命は大切)を信じています」

現在アメリカでは、ジョージ・フロイドさんが警察官に首を押さえつけられて死んだことに対する、大規模な抗議活動が行われている。

グッデル氏の投稿の1日前には、複数のNFLの選手たちがNFLに対し、リーグとして人種差別と警察の暴力にはっきりと抗議するよう求めていた。

「一体何度、選手の声に耳を傾けてと言わなければならないのでしょうか」「我々の一人が、警察に殺されなければいけませんか?」と、選手たちは動画で訴えた。

グッデル氏の声明は、この動画に続く形で投稿されものの、リーグで最初にひざまずく抗議を始めたコリン・キャパニック氏については触れていない。

キャパニック氏はサンフランシスコ49ersの選手だった2016年、人種差別と黒人に対する警察官の暴力に抗議するため、試合前の国歌斉唱中にひざまずいた。 

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Michael Zagaris via Getty Images

この抗議は賛否両論を呼んだ一方で、多くの選手がキャパニック氏のひざまずく抗議に続いた。

しかしNFLは選手たちの抗議活動を支持せず、2018年には国歌斉唱の際にひざまずくことを禁止。違反した場合には処罰を課すとした。

またキャパニック氏自身は、2017に自由契約選手になった後、どのチームからも契約をオファーされなかった。

各チームのオーナーや関係者が共謀して自分を選手登録から排除してるとして、キャパニック氏はリーグを提訴したが、2019年に和解。しかしいまだにどのチームにも所属していない。

キャパニック氏はまた、ジョージ・フロイドさんに死に対する抗議活動への支持を表明している。 

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キャパニック氏はチームに所属してはいないが、トレーニングを続けている
Carmen Mandato via Getty Images

グッデル氏は5日に投稿した動画で、「黒人の選手がいなければ、NFLもない」として選手の声に耳を傾けるとも述べている。

「私たちは耳を傾けます。NFLファミリーがもっと良くなり団結するためにはどうしたらいいのか、どうすれば我々がもっと良くなり前に進めるのか、私は声をあげた選手や他の選手の声を聞きたい」

彼らが耳を傾ける中にキャパニック氏も含まれているのか、注目が集まる。