大学院を休学、フィリピンに一歩踏み出すまで
――フィリピンで就職したきっかけを教えてください。
大学院を1年休学し、セブ島で留学事業を行うNexSeedで半年間のインターンをしたことがきっかけです。
半年間のインターン終了後はアジアを半年間放浪し、一度日本に帰って就職活動をしました。
結局大学院は中退して、そのままNexSeedに就職。
現在、メインの仕事は大きくふたつあります。
ひとつはバックオフィス全般の財務、人事、法務、労務など。もうひとつは代表のアシスタントです。
大学卒業後は就職ではなく、大学院に行くと決めていたのですか?
工学部機械工学科出身だったので、理系で大学院に入るのは当然の流れだと思っていたんです。
周りに流されたところもあるかもしれません。
私はもともと出来るタイプではないので、「人より努力で勝らなきゃ」と院試のために半年ほど集中して勉強しました。
ただ、いざ大学院に入ってみると就職をどうしようかと悩む日々。
そんな風に悩んでいる間に、高校・大学の同級生である友人が海外でインターンを始めていました。
私も漠然と海外への憧れはあったので、実際に働く人に話を聞けばなにかヒントをもらえるかもと思って相談すると、彼女の知人が経営する会社のインターンを紹介してくれたのです。
悩んでいるのにまだ何も動いていない自分を変えたい、一度やってみてから考えようと思い、休学を決意しました。
この時に紹介されたのが、NexSeed。
まさに、人のご縁でここまで来れたと感じています。
ボランティアかビジネスか。アジア放浪で見つけた答え
――インターン中はどんな仕事をされていたのか教えて下さい。
仕事は大きく挙げると3つです。
ひとつ目が、スクールのカリキュラム作成。ふたつ目が、後任のインターン探し。そして3つ目はトライアル授業の運営です。
日本で就活をしている周りの学生を見ていて、「働くこと」に対して大きな不安がありました。
でも、実際に働いてみて感じたのは、「働くって楽しい!」ということ。
仕事で関わる人たちが魅力的で、みんなで何かを必死に成し遂げる過程もすごくやりがいを感じる環境で、仕事はプライベートと境目なく楽しめるものなんだと知ったんです。
また、働くことで他者が喜んでくれるのが本当に嬉しくて、それまで自分志向だった価値観がどんどん外に向き出したのを感じました。
半年間のインターンの後、なぜアジアを放浪されたのでしょうか?
元々ボランティア活動にも興味があったので、仕事をインターンで体験した後は、ボランティアも実際にやってみようと考えたからです。
働き方に対する意識が、実際に現地で働くことでガラッと変わったこともあり、「何事もやってみなければわからない」という姿勢がこの頃から少しずつ身に付いてきたように思います。
現地を放浪するなかで、現地のNPOなどで働く方たちにお会いして、色々とお話を伺いました。
そして決意したのは、「やはり私はビジネスがしたい」ということ。
お話を聞くなかで「こんなビジネス視点があれば、お金を稼げれば、もっと良くなるのに!」と思うことも多く、ビジネスによって解決できる課題も世の中にはたくさんあると確信したのです。
ものづくりで、誰かの夢を応援したい
――この先もアジアで働きたいと思われますか?
はい。これからもフィリピンで働きたいと思っています。
私の専門分野である工学と社会貢献を結びつけたい。
具体的には、ファブラボ(「ほぼあらゆるもの」を作ることを目標とした、3Dプリンタやカッティングマシンなど多様な工作機械を備えた工房。世界中に存在し、市民が自由に利用できることが特徴)をセブにも作りたいと考えています。
去年ファブラボの第1号が、セブ近くのボホル島というところにできたんですよ。
ものづくりで、本気で何かをやろうと思っている人の応援をしたいんです。
また、フィリピンの良い部分を日本に逆輸入していきたいですね。
日本が進んでいてアジアが遅れているという考え方をしている人もまだいるかもしれませんが、全くそんなことはありません。
アジアの方が活気はあるし、サバイバル能力は、日本人と比べて圧倒的にフィリピン人の方が強いと思います。
彼らから学べることはたくさんあるはず。
私は、経済の成長率などを指標にしてフィリピンを働く場所として選んだわけではありません。
この国で働くことが本当に楽しくて、そして一緒に働く仲間たちのことが大好きで、だからここにいたいと思っています。
その時々に自分で色々体験しながら、これからも道を切り開いていきます。
プロフィール
高寺 優子/Yuko Takadera
Administrative Assistant to CEO
東京大学大学院機械工学専攻を中退。南米・アジアを半年かけてバックパックし、「ガンジス川でバタフライ」を文字通り実行。強靭な体とタフさが武器。英語を勉強するものの、目指す留学先に全く届かなかったことから、同じように海外へ出たいけれど出られない方々を応援したいという想いを持ち、インターンとしてNexSeedの立ち上げ最初期から参画。現在は社員として、CEOアシスタントから会計、法務、労務、人事などバックオフィス全般の業務を幅広く担当。今後は、学生時代からのものづくりへの想いや、世界の様々な地域への強い興味から、ものづくりとBOPを絡めた事業で身の回りに笑顔を広げたいと考えている。
<取材・ライタープロフィール>
ABROADERS 代表 濱田 真里/Mari Hamada
海外で働く日本人に特化した取材・インタビューサイトの運営を4年間以上続けている。その経験から、もっと若い人たちに海外に興味を持って一歩を踏み出してもらうためには、現地のワクワクする情報が必要だ!と感じて『週刊アブローダーズ』を立ち上げる。好きな国はマレーシアとカンボジア。
週刊ABROADERSは、アジアで働きたい日本人のためのリアル情報サイトです。海外でいつか働いてみたいけど、現地の暮らしは一体どうなるのだろう?」という疑問に対し、現地情報や住んでいる人の声を発信します。そのことによって、アジアで働きたい日本人の背中を押し、「アジアで働く」という生き方の選択肢を増やすことを目指しています。
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