日本ではワクチン接種、なぜ遅い。世界は続々と「ワクチン後の世界」に

イスラエルは屋外でのマスクなし、アメリカではワクチンパスポートの議論も。日本は主要7カ国(G7)の中でも接種スピードは最下位だ。
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主要7カ国(G7)の中で接種が最も進んでいないのが日本だ。Our World In Dataより
Our World In Dataより

日本での新型コロナウイルスのワクチン接種は、欧米やイスラエルなど世界各国に比べ圧倒的に遅い。主要7カ国(G7)の中で接種が最も進んでいないのが日本だ。
世界は続々と「ワクチン後の世界」にシフトしつつあるが、日本はいつ最後の一人が打ち終わるのか、わからない状況だ。

イギリスのオックスフォード大などによる統計Our World In Data(アワー・ワールド・イン・データ)によると、少なくとも1回目の接種を終えた人の総人口に占める割合は、4月16日時点でイスラエル61.64%、イギリス47.62%、アメリカ36.57%、ドイツ16.78%、日本0.91%だ。大幅に差がある。

新型コロナウイルス感染対策の「切り札」とされるワクチン。日本では、医療従事者に続き、一部の地域で、高齢者向け接種が4月12日に始まった。

ワクチン接種の調整を担う河野太郎・行政改革担当相は、欧米より接種開始が約2カ月遅れたことや、海外から輸入できるワクチン量が限られていることなどを、ワクチン接種が他国より遅い理由としてあげた。4月9日、ハフポスト日本版へのインタビューに答えた。

いつ一般の人はワクチンを2回打ち終わるのか*。
菅首相は4月12日、立憲民主党・尾辻かな子衆院議員の「いつ一般の人が打ち終わるのか」という国会での質問に対して、「6月末には1億回分がすべてそろう。その進捗(しんちょく)状況によってでありますけれども、一日も早くできるように行うことが政府の役割だというふうに思います」と答え、目処を示さなかった。

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ワクチン接種を証明する「ワクチン・パスポート」のイメージ
NurPhoto via Getty Images

 

 世界各国ではワクチンパスポートも


世界で最も早くワクチン接種が進むイスラエルでは4月15日、屋外でのマスク着用は必要ないと政府が宣言し、新型コロナ感染拡大前の日常の生活を取り戻しつつある。

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イスラエル政府の「グリーン・パスポート」申請サイト
グリーン・パスポート

 イスラエルでは、接種を2回受けてから1週間以上経過したことを示すワクチン接種の証明書「グリーン・パスポート」を政府が発行する。コンサートやイベント、スポーツジムなどでの提示を義務づけている。これにより、さらに接種率をあげようとする。

世界でも、グリーン・パスポートのように、旅行やコンサートなどに行くときに、ワクチン接種を証明する「ワクチンパスポート」を必須にする動きがある。

アメリカでは、ワクチンパスポートの是非が議論されているが、バイデン政権は、ワクチンパスポートのプログラム作成に取り組んでいるとワシントン・ポストが報じている。

また、ハワイも、ハワイを出入りする際に必要となるワクチンパスポートの発行を検討していると、地元メディアが報じている。

アメリカの日本人医療従事者の一人は、「世界ではワクチン接種の次のステージの議論が始まっています。日本では高齢者へのワクチン接種がやっと一部地域で始まりましたが、第4波が広がる感染者数が多い都市部では始まっていないところがほとんど。全自治体に公平にワクチン配布をすることに集中しているようですが、世界と格段の差を感じます」と話している。【ハフポスト日本版・井上未雪】

(*編注 厚労省によると、日本で予定されている新型コロナウイルスのワクチンは、2回の接種が必要。アメリカのファイザー社のワクチンでは、通常、1回目の接種から3週間後に2回目の接種を受ける)