新型うつ病を「職場で排除しないで」 日本うつ病学会が適切な診断訴える

日本うつ病学会は20日、北九州市で開いた総会で、自分の好きな仕事のときだけ元気になるなどの特徴がある、いわゆる「新型うつ病」について、企業は患者を排除せず適切な診断が必要だと訴えた。総会会長を務めた中村純産業医科大教授は「患者はコミュニケーションが下手な傾向があり、精神療法が効果的なことが多い。企業は患者を職場で排除的に扱わないで欲しい」と話した。
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depressed businessman

日本うつ病学会は20日、北九州市で開いた総会で、自分の好きな仕事のときだけ元気になるなどの特徴がある、いわゆる「新型うつ病」について、企業は患者を排除せず適切な診断が必要だと訴えた。朝日新聞デジタルが伝えた。

新型うつ病とは、従来型の典型的なうつ病とは印象が違う、新しいタイプのうつ病のこと。仕事中だけうつで、職場を離れると活動的になるなど自己中心的に映るため、周囲が対応に苦慮する場合も少なくない。

もともと、「新型うつ病」という専門用語はなく、精神医学的に厳密な定義はない。医学的に定義されている「非定型うつ病」は、最近の米国精神医学会診断基準(DSM-IV)によると、過食、過眠、鉛のような体の重さ、対人関係を拒絶されることへの過敏性などの特定の症状を有するうつ病とされている。マスメディアで使われる「非定型うつ病」は、教科書的なうつ病のプロトタイプに合致しないうつ病・抑うつ状態を広く指して用いられ、「新型うつ病」とほぼ同義に扱われることもある。

(日本うつ病学会「うつ病Q&A」より)

一般的に、「新型うつ病」あるいは「非定型うつ病」には次のような特徴がある

1. 若年者に多く、全体に軽症で、訴える症状は軽症のうつ病と判断が難しい。

2. 仕事では抑うつ的になる、あるいは仕事を回避する傾向がある。ところが余暇は楽しく過ごせる。

3. 仕事や学業上の困難をきっかけに発症する。

4. 患者さんの病前性格として、“成熟度が低く、規範や秩序あるいは他者への配慮に乏しい”などが指摘される。

同学会は昨年7月に初めてうつ病の治療指針をまとめた際、「医学的知見の明確な裏打ちはない」と新型うつ病を指針の対象外としたが、悩んでいる患者は少なくなく、うつ病や適応障害、人格障害など、適切な診断が必要とした。

総会会長を務めた中村純産業医科大教授は「患者はコミュニケーションが下手な傾向があり、精神療法が効果的なことが多い。企業は患者を職場で排除的に扱わないで欲しい」と話した

※「新型うつ病」を病気としてとらえることができるか、あるいは職場で新型うつ病患者をどのように扱えばよいのか、みなさんのご意見をお寄せください。