ガイドラインは、ニューヨーク市の人権委員会が2月18日に発表した。職場や学校、公共の場所での髪型による差別や嫌がらせを禁止する。ニューヨークタイムズによると、違反した場合には、最大25万ドル(約2770万円)の罰金が課せられる。
ニューヨーク市の全ての人を対象としているが、主に髪型による差別を受けてきたアフリカ系アメリカ人を権利保護を目的とした内容となっている。
ガイドラインによると、アフロやドレッドロックスといった黒人固有のヘアスタイルは、これまで職場や学校で差別を受けてきた。
その背景には「黒人の髪型は、フォーマルな場面にはそぐわないという人種差別主義的な考えがある」とガイドラインは指摘する。
アメリカでは髪型を理由に、職場や学校から黒人が締め出される例が相次いでいる。
2018年12月、ドレッドロックスの高校生レスリング選手が、髪を切らなければ試合を剥奪されると審判に通告され、無理やり切らされたことが問題になった。
ニューヨークタイムズによると、今回のガイドラインは、ニューヨークの医療機関やレストランなどで働く人の、ヘアスタイルを理由に受けてきた待遇への不満がきっかけで制定された。
アフロやドレッドロックス、コーンローといった黒人のヘアスタイルは、彼らのアイデンティティと密接な関係があり、守られるべきだ、とガイドラインには書かれている。
一方で、衛生上の理由や安全面から、ヘアネットをかぶったり髪を結んだりするよう求めるのは禁止していない。
アメリカでは、ヘアスタイルを巡る差別的な待遇を、司法の場で訴える動きもある。
しかし今回のニューヨーク人権委員会は、差別の禁止を明確に打ち出した。
同委員会のカーメリン・P. マラリス委員長は、小さな男の子がバラク・オバマ前大統領の髪を撫でている写真をツイートして、髪型の大切さを訴えた。
「髪は、あなたの一部。髪に基づいた人種差別はニューヨークでは違反です」