2020年の東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場に、現在の設計計画では、聖火台を最上部に設置できない可能性があることがわかった。スタンドは木材が使われる屋根で覆われる構造のため、消防法上、問題となる懸念があるという。3月3日、共同通信などが報じた。
■新国立競技場は「木」がふんだんに使われるデザイン
新国立競技場のデザインは、建築家の隈研吾氏と、大成建設、梓設計が提案。「木と緑のスタジアム」をコンセプトとし、スタジアムを取り囲む階層式のテラスにふんだんに緑を取り入れ、屋根にも多くの木材を用いている。
■聖火台の設置場所はIOCの承認が必要
テレ朝newsによると、国際オリンピック委員会(IOC)は聖火台について、「すべての観客から見え、外からも見えるようにすべき」などとルールを定めている。聖火台の設置場所はIOCの承認が必要で、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会によると、夏季大会で聖火台がメーン競技場の外に設置された例はないという。
■聖火台の設置ルール、「要望聞いていない」とJSC
新国立競技場をめぐっては、イギリスに事務所を構える建築家ザハ・ハディド氏の案が総工費2520億円と高騰したため、安倍晋三首相が2015年7月に白紙撤回を命じ、新しくコンペを行った経緯がある。
日刊スポーツによると、新しいデザインの策定に当たり、東京オリンピック・パラリンピック組織委は事前に聖火台の要件を政府や事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)に伝えていたと主張した。
一方、朝日新聞デジタルは、JSC側の主張を次のように伝えている。
昨年12月に採用された建設案では聖火台を置く空間がない。JSCは屋根で覆うザハ・ハディド氏監修の旧計画でも外に置くことを想定しており、「組織委から聞き取った要望の中に、聖火台を競技場内に置くという話はなく、(白紙撤回後の)公募時にも設置場所は想定しなかった」(幹部)。
(新国立、聖火台の置き場なし 場外案に組織委反発:朝日新聞デジタルより 2016年3月3日22時35分)
FNNニュースは、「デザインコンペの募集要項には、そもそも聖火台の設置についての記載はなかった」と指摘している。
組織委員会は3日、関係機関のトップで構成する調整会議を開き、聖火台の設置場所を決める検討チームの発足を決定。遠藤利明オリンピック担当相は、当初案から一部の設計を変更する可能性もあることを示唆した。
■「気付くのが遅すぎる」などの声も
一連の報道に、ネットからは「また、問題?」「気付くのが遅すぎる」などの声が出ている。
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