えっ? 新国立競技場の屋根は、オリンピックには必要なかったの?――。建設計画をめぐって混乱が続いている新国立競技場の問題で、コスト高と工期が伸びる原因になっていた屋根は2020年の東京オリンピック・パラリンピックには関係ないものだったことがわかった。
下村博文文部科学大臣が、5月31日放送のフジテレビ系報道番組「新報道2001」に出演し、明言した。以下が下村文科相の発言要旨。
***
もともと、2019年のラグビー・ワールドカップ、2020年のオリンピック・パラリンピックについては、観客席の上はあるんですけど、競技する上は屋根がないのが前提なんです。なぜ屋根を付けることになったかというと、あそこは騒音公害の問題で年に1〜2回しかコンサートが開けなかったんですね。でもそれだと運営費が赤字になる。年間10回以上コンサートを開ければ黒字になる、というので、屋根を作ろうということになったんです。オリンピック・パラリンピックとは関係ない話なんです。
このままだと工事が間に合わないとゼネコンが言っているものですから、絶対に間に合わせなきゃ困るので、オリンピック・パラリンピックが終わってから、天井の上に開閉式の幕なんですけどね、正式には。それを追加で付けるということで、オリンピック・パラリンピックと関係ないということで進めようということです。日程的なものです。
***
新国立競技場は当初、2012年にコンペで選ばれたイギリスの建築家、ザハ・ハディドさんがデザインした案で建設される予定だった。この案では天候にかかわらず使用できる開閉式屋根と、約8万人を収容できるスタンドを備えていたが、設計通りに作ると、当初の予算の1300億円を大幅に超える、3000億円まで工費が膨らむことが判明した。
日本スポーツ振興センター(JSC)はハディドさんの原案のまま建設することを諦め、原案のテイストを残しつつ、大幅に規模を縮小し、総工費1692億円の修正案で建設することを決めた。
しかし、資材の値上がりで総工費がさらに上回る可能性が高く、工期も2019年のラグビー・ワールドカップに間に合わないことから、整備費の減額や工期短縮を図るために、さらに建設プランを変更することになった。下村文科相は5月18日の舛添知事との会談で、新国立競技場の屋根の建設はオリンピック終了後となる見通しを示した。また、当初計画していた8万人収容の一部を仮設スタンドとし、オリンピック後に5万人規模へ縮小されるという。
下村文科相は舛添知事に、周辺整備にかかる費用500億円の負担を要請。これに対し、舛添知事は「説明不足」などを理由とし、文科省担当者の説明を断わるなど、都と国との溝も広がっている。
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー