アメリカ・ニュージャージー州パターソンで10月29日、41歳の黒人男性ラリー・ブーイさんが2人の息子の前で警察官に銃撃された。黒人への暴力に抗議する活動家らはボディカメラの映像と、撃った警察官の名前を公表するよう求めている。
パターソン警察署の現職警察官のバッジ。2011年4月18日当時。パターソンの警察官が10月29日、非武装の黒人男性ラリー・ブーイさんを銃撃し、重傷を負わせた。
ブーイさんと、パートナーのターシャ・ウェイドさんは10月29日、2人の息子と一緒に車の中にいた。ブーイさんは「シンシア(誠実な)」という別名で呼ばれている。警察署の近くでバッテリーが故障し、ブーイさんは近くで商店を営む兄弟に助けを求めた。しかし、仕事中とのことで断られた。
その後すぐに、ブーイさんは感情的になったと、ウェイドさんは10月30日付けの「パターソン・タイムズ」に語った。
「彼は取り乱し、怒っていました」と、彼女は話した。「救急車を呼んで、彼を鎮めようとしましたが、できませんでした。その後、警察が来ました。警官が車から降りて、荒れ狂っている彼を見ると、銃を取り出し、撃ったのです」
ブーイさんはそのとき武器を持っていなかったと、彼の兄弟とウェイドさんは話している。ブーイさんはセント・ジョセフ・リージョナル・メディカル・センターに搬送されたが重体だ。
黒人への暴力に抗議する運動「黒人の命だって大切だ(BLM)」のスクリーンショット。ラリー・ブーイ銃撃事件の詳細の公開を求めている。ある地元のBLM指導者は「これは特有の事件ではない」と語った。
シンシアに正義を
パターソン警察が非武装の黒人男性を銃撃。道の中央で感情的に取り乱しているとの通報を受けた後のことだった。男性は現在重体。
私たちは透明性を求める。私たちは説明責任を求める。私たちは警察の暴力が終わることを求める。
パセーイク郡検察局はこの事件を調査しているが、現時点ではコメントを発表していない。ブーイの家族と地元の活動家らは回答を求めている。
「これは特有の事件ではない」と、パターソンの「黒人の命だって大切だ(BLM)」指導者アレクシス・ミラー氏はハフポストUS版に語った。
「みんなに知ってもらいたいのは、これはシンシアひとりだけの事件ではないということだ。他の人の身にもこれから起こる、またはすでに起きている問題だ。黒人への暴力と闘っているすべての地元の組織を支援することが大切だ」
BLMの活動家らは、ボディカメラの映像と共に、事件に関わった警官の名前を公表するよう捜査員に要請している。また彼らは、精神疾患を抱えた人々の対応について、警官に訓練を行うようパターソン市議会に求めている。さらに透明性を高め、説明責任を明確にするため、「市民苦情評議会」の設置も求めている。
BLMパターソン支部のもう一人のリーダー、ゼリー・イマニ氏はこう語った。「単純な話だ。警察にコミュニティを託すことはできない」
パターソン警察は過去にも不祥事を起こしている。1995年、白人警官が16歳の少年ローレンス・メイヤーズさんを射殺した。メイヤーズさんは銃を持っておらず、頭部を撃たれた。他にも凄惨な事件が起きている。2013年、パターソンの警官が、バーで口論があったとの通報を受け、現場にいたアレクシス・アポンテさんとミゲール・リヴェラさんに激しい暴行を加えた。警官は手錠をかけたアポンテさんを数回殴り、道路に引きずり倒した。
パターソン市はまた、警察の不祥事に絡む訴訟で数十万ドルを支払っている。
イマニ氏によると、パターソンの黒人コミュニティは警察を信用していないという。一連の暴力事件が起きていることに加え、捜査と裁判がほとんど行われないからだ。「コミュニティの暴力事件に警察は出てこない 。出てくる時は、報告するまで時間稼ぎをしてからだ」
イマニ氏はまた、「警察は、自分たちが安全のために必要とされているのではなく、安全を脅かす存在になっていることに気付いている」と語った。
ブーイさんの事件は、最近起きたレニー・デイヴィスさんとアルフレッド・オランゴさんの銃撃事件の繰り返しだ。2人とも手助けが必要だったにもかかわらず、犠牲者となった。
デイヴィスさんはネイティブ・アメリカンの女性で、妊娠していた。彼女は2016年10月、生活安全と安否確認で自宅を訪れたワシントン州の保安官代理に撃たれた。オランゴさんの事件では、彼の姉妹が9月にカリフォルニア州の警察に連絡し、助けを求めた。「自殺」しようとしていたからだ。しかし、オランゴさんは警官に射殺された。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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