【アメリカ大統領選】サンダース勝利で、民主党は混乱に陥りつつある

民主党が避けたかったシナリオはほぼ確実になった。
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Democratic presidential candidate, Sen. Bernie Sanders, I-Vt., reacts to the cheering crowd at his primary night rally Tuesday, Feb. 9, 2016, in Manchester, N.H. (AP Photo/J. David Ake)
ASSOCIATED PRESS

ニューハンプシャー州の民主党予備選挙でバーニー・サンダース上院議員がヒラリー・クリントン前国務長官に勝利したことで、民主党が避けたかったシナリオはほぼ確実になった。つまり、候補者を決める予備選挙が長引いて費用がかかり、党へのダメージとなるかもしれないのだ。

両陣営は投開票のあった2月9日夜、長期にわたる選挙戦の準備が整っていると胸を張った。しかしサンダース氏の口調には新鮮な喜びがあり、最後に候補者指名を勝ち取る可能性について以前より自信を持っていた。

「彼らへの私の質問はこうです。いつ私たちの味方になりますか? かまいませんよ!」と、サンダース氏の戦略担当者のトップ、タッド・ディバイン氏は、コンコードでサンダース氏が勝利演説した後に短く述べた。「彼ら」とはクリントン陣営のスタッフのことだ。

自信過剰に聞こえるかもしれないが、サンダース陣営は現在、次の大チャンスに賭けようと積極的に策を練っている。陣営は集中的に広告を打つ作戦で、コンコード、ミネソタ州、オクラホマ州、マサチューセッツ州という、これまでテレビ宣伝をしたことのない場所でテレビに露出している。サンダース氏は2月10日の朝、ニューヨークのアフリカ系アメリカ人の拠点・ハーレムで、著名な人権活動家アル・シャープトンと会食した。彼の主な弱点の1つであるマイノリティー有権者の支持不足を補強するためだ。

「私たちは資金と勢いという、政治にとても重要な2つのものがあります」と、サンダース陣営のもう一人の幹部、マーク・ロンゲバー氏は話す。「クリントン陣営は壁にぶち当たるでしょうが、私たちは陣営に資金が入り続けます。誰もが感心していますが、彼らはその戦略的重要性を理解していません」

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しかし、資金さえあれば選挙戦を勝ち抜けるわけではない。蓄えが十分だったジェブ・ブッシュ氏(共和党)がその証拠だ。サンダース氏は確かに圧倒的な勝利でニューハンプシャー州を出発するが、予備選挙の日程は必ずしも彼に有利にはならない。クリントン氏はネバダ州とサウスカロライナ州の2州で大きくリードしている。

クリントン陣営では、敗北した9日夜の暗いニュースの中でさえ、自信に満ちた談話があった。

「3月には私たちは挽回します。そしてそこが勝負所です」と、クリントン陣営トップのジョン・ポデスタ氏は語った。

サンダース氏の陣営は、今後数週間はさほど困難ではないと主張した。それはサンダース氏がニューハンプシャー州の勢いに乗れるからだけではない。サンダース陣営トップのタッド・ディバイン氏は、ネバダ州のサンダース陣営のスタッフがクリントン陣営よりも多いと誇り、ロンゲバー氏は3月の予備選・党員集会 (10回)はサンダースに有利だと主張する。比較的リベラルな有権者が参加する傾向があるからだ。

また、サンダース氏に有利な点も強調した。サンダース氏は選挙運動のメッセージを変える必要がないということだ。

「彼は何もする必要がありません」と、サンダース氏を支持するグループ、デモクラシー・フォー・アメリカの事務局長チャールズ・チェンバレンは語る。「彼は過去5か月間やってきたように、ただ確実に勝ち続けなくてはなりません。」

しかし陣営が、新たなレトリックを用いる微かな兆候がすでにある。勝利演説の中で、サンダース氏は明らかに指名獲得をにらんだアピールをした。

「私たちは数カ月以内に団結し、この党とこの国をまとめる必要があります。なぜなら、保守派の共和党員は大統領の職を得られないだろうからです」と、サンダースは述べた。

これは意識的なものだった。ディバイン氏が指摘するように、陣営はサンダース氏を単なる扇動者ではなく、大統領になる可能性のある人物であることを示そうとしている。

「私たちが勝つなら、これは単に予備選の有権者の支持を獲得したからではありません」と、ディバイン氏は語った。「それは私たちが、バーニーが最強の候補者なのだと、民主党の主流派に確信させたからでしょう。そのために、私たちは示さなくてはなりません。私たちは人々を巻き込むことができるが、ヒラリー・クリントンはできないのだと」

クリントン陣営にも、次に何が起こるか、予期できないことがある。Politicoによれば、ニューハンプシャー州の予備選後に選挙スタッフが再編され、「より前向きなメッセージ」がないことに不満なスタッフもいるという噂もある。クリントン氏自身はMSNBCのレイチェル・マドーに、これらの報道が何を指しているのかわからないと語り、またポデスタ氏は9日夜、報道は事実ではないと述べた。

陣営は、予備選の結果が発表された直後に、3ページのリリースを発表し、次に予備選挙が行われる州でクリントンが優位にあることを強調し、そこには最初の2つの州(アイオワとニューハンプシャー)よりもずっと多くの代議員がいると指摘した。

「数学的観点から言えば、3月がなぜ非常に重要なのかは明らかです。つまり、代議員の割り当てが多い大きな州の有権者が票を投じるからです」と、そのリリースには書かれていた。「総数で1875人の代議員が、3月前半の15日間に選出され、スーパー・チューズデーだけでも900人近くが選ばれます。私たちが確保した大勢の特別代議員と、代議員が多い州の世論調査でヒラリーが圧倒的にリードしていることを考えれば、彼女は指名獲得に非常に強い立場にいます」

彼女はこんな長期戦を戦うはずではなく、もちろん、民主党員ですらないサンダース氏と対立するはずでもなかった。どうしてこうなったのか、陣営はもちろん説明した。

「ジョン・ケネディが大統領に立候補して以来、私たちは8回の予備選を経験しました。常に、隣のメイン州、マサチューセッツ州、バーモント州のどこかの出身者が、ニューハンプシャー州の予備選挙に立候補しました。8回です。その8回のうちの7回で、隣の州の候補者が勝ちました」と、ニューハンプシャー州の弁護士で、この州でビル・クリントン陣営の2回の選挙で共同議長を務めたテリー・シューメイカーは語った。彼はまた、サンダース氏の勝利を、この州の民主党の「非常にリベラルな部分」が原因だとしたが、それは今後の州でそれほど大きな要因にならないかもしれない。

「私たちは負けると思ってここ(ニューハンプシャー州)に来ました」と、クリントンの首席報道官ジェニファー・パルミエリは付け加えた。「彼女は今週、多くのものを得たと感じているはずです。結果は望んだものではありませんでしたが、これは彼女が経験済みのことなのです」

サンダース氏が1つの州で獲得したからには、彼がもっと徹底的に厳しく検証されるだろうと、クリントン氏の支持者は話す。

「長い間、人は彼の立候補をそれほど真剣に受け取らず、本気の競争相手というより、むしろ注目を集める候補者だと感じていたと思います。…彼はクリントン氏がこれまで検証されてきたのと同じレベルで、綿密に検証されるべきです」と、シューメイカー氏は語った。

しかし、サンダース氏が警告したように、クリントン氏とその陣営 (またはおそらく「主流派」)が徹底的に攻撃しようとするなら、サンダース陣営も準備はできている。「彼女が挑んでくるなら、私たちの主張、つまり億万長者が選挙を買うべきではないということを証明します」と、ロンゲバー氏は語った。

今後数週間は、民主党が思い描いた選挙にはならないだろう。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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