2019年5月1日から施行される新たな元号について、政府が発表時期を「今年の年末以降で検討していることが分かった」と、日テレNEWS24が1月22日に伝えた。
新元号の発表時期をめぐっては、政府内で「あまり早いと盛り上がらなくなる」「2019年に入ってもよい」という声も出ているとされ、官公庁などのコンピューターシステムを担当するシステムエンジニア(SE)の人たちはヤキモキさせられそうだ。
新元号の発表時期をめぐっては、報道各社は以下のように報じている。
毎日新聞によると政府内では「改元まで間が空き過ぎると間延びする」「早い方がいいが、早過ぎてもよくない」といった意見が出ているという。
日テレNEWS24は「あまり早いと盛り上がらなくなる」と、政府内で指摘が出ていると伝えた。
日経新聞によると、「新元号が施行される2019年5月1日にできるだけ近づけるべきだ」という意見が強まっているという。9月に自民党総裁選が予定されており、「2019年に入ってもよい」という声もあるようだ。
こうした状況を現役のSEはどう見ているのだろうか。独立系のシステムインテグレーター企業(SIer)に務める20代男性は、ハフポスト日本版の取材に対し、「システム屋を殺す気かと思いました」と語る。
――新元号の発表、ギリギリの可能性もあるようですが...。
システム屋を殺す気かと思いました。いま私が担当している業務では西暦を使っていますが、会社としては改元の対応を迫られる部署もあります。修正にかかる"重み"は理解できます。
――どういったところのシステムが対応を求められるのでしょうか。
元号を使用しているところ。一例だと、官公庁や金融機関ですね。そういったところにシステムを納品してる会社は、新元号の対応を求められると思います。
古いコンピューターシステムを使用している場合は、システムのどの部分で元号を使用しているか正確に把握していない可能性もあります。すでに調査に入ってる会社もあるかと思います。
「Windows」のOSのように、家電量販店やネットで購入できる「パッケージソフト」を開発・販売する"売り切り"のシステム会社さんもあります。こうした会社さんは、アップデートしたり補完するソフトを配布することになると思われます。
――新元号に対応する場合、システムを卸している会社は納品先に別料金を求めることができるのでしょうか。
そこが辛いところで...。こうした突発的な案件では、納品先から料金をいただけない場合もあります。
というのも、納品先と開発会社はシステムの保守契約を結んでおり、保守料金(住居でいえば、家賃・共益費のようなもの)を頂いているので、その中での対応となる場合があります。
こういう突発的な案件で、修正範囲がどこまであるかわからない。加えて、もとの設計の質が悪ければ、さらに修正箇所が発生します。
最悪の事態になってしまうと、普段頂いている料金では賄えない場合もあります。お客様に料金を請求できるかは、会社やシステム規模によって異なるでしょうから、一概には言えないです。
当然ながら「どこまで修正範囲があるか分かりません」とはお客さんには言いづらいので...。
1989年1月8日の「昭和」から「平成」への改元は、昭和天皇の崩御後に新元号が発表された。今上天皇の即位に伴う「即日改元」だった。
鉄道会社の券売機、郵便の消印、新聞の日付、住民票...。元号を使う官公庁や自治体、企業のコンピューターシステムの改修など、各所が対応に追われた。
今回は明治以来、「崩御」を伴わない初の改元となる。政府は公表時期を「白紙」としつつも、菅官房長官は「国民生活への影響を考慮しながら適切に対応していきたい」としている。「事前公表」を検討しているという報道もある。
「夏をめどに」「年内中」「年末以降」など、新元号の発表時期をめぐっては様々な報道がある。システムエンジニアにとっては不安な日々が続きそうだ。