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航空業界のデジタル変革の現在地。航空業界とNECが考える未来の顧客体験とは?

NECが主催するオンラインイベント「NEC Visionary Week 2021」が2021年9月13日から9月17日に開催された。セッションの中で語られた航空業界の未来とは?

「未来の共感を創る」をテーマに、NEC Visionary Week 2021が2021年9月13日から9月17日に開催。
オンラインセッションでは、世界から各界の第一人者を招き、これからの社会のあり方やビジネスの課題、そしてその解決方法について議論が行われた。
その中で、本記事では、“航空業界のデジタル変革”についてレポートする。

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パネリスト スターアライアンス CEO ジェフリー・ゴー氏(左上)成田国際空港株式会社 取締役 経営企画部門長 宮本 秀晴 氏(左下)・日本電気株式会社(NEC)取締役 執行役員副社長 石黒 憲彦氏(右上)・NECアメリカVice President ジェイソン・ヴァンサイス氏(右下)
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COVID-19の感染拡大で、航空業界が厳しい状況に陥っていることは周知の事実だ。
しかし、ゆっくりではあるが、着実に回復している。

回復の加速、そしてさらなる成長を目指し、航空業界では顧客サービスや搭乗手続きのデジタル化(DX)が進められている。

パネリストたちは、旅行者に安全に空港を利用してもらうため、感染対策を徹底するのに加え、生体認証を含むタッチレスなデジタル技術の導入で、航空業界の回復を加速させたいと話す。

航空業界のデジタル化とは?成田国際空港の取り組み

安全でシームレスな搭乗体験を実現するために、世界の主要空港では、タッチレスな技術の導入が進んでいる。
成田国際空港(東京)もCOVID-19の影響を大きく受け、空港内の約500の店舗のうち約30%が限定的に営業し、60%が一時停止、10%が完全に営業停止した。
そのような厳しい状況に対応しながら、2021年7月に利用者の利便性向上と感染対策を目的とした搭乗手続きシステム「Face Express」を発表した。

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搭乗者は、セルフチェックイン機でパスポートと搭乗券をスキャン。顔写真を登録し、パスポートと搭乗券に見立てる。そうすることで顔認証のみで、手荷物預けや保安検査場入口、搭乗ゲートを通過することができる。
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Face Expressを導入することで、空港内検査のセキュリティ向上とともに、利用者の利便性が高まる。

空港スタッフの空港利用者に個別対応できる時間が増えることで、より手厚いサービスの提供にもつながる。

成田国際空港株式会社 取締役 経営企画本部長の宮本秀晴氏は、「COVID-19で、感染拡大防止のため“人との接触をできるだけ減らす“ことが求められていますが、セルフサービス、かつ顔認証を活用することで、非対面・非接触で手続きができ、感染防止対策としても非常に有効であることがわかりました」と話し、「旅行が復活し、より旅行者が増えた際にも、この技術は非常に重要になってくるでしょう」と力を込めた。

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成田国際空港株式会社 取締役 経営企画本部長 宮本秀治氏
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NECの顔認証技術、マスク着用状態でも顔認識が可能に

Face Expressの顔認証技術は、NECの高精度な生体認証技術が活用されている。

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2021年8月に米国国立標準技術研究所(NIST)が実施した顔認証技術の精度評価において、世界第1位を獲得
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日本電気株式会社(NEC)取締役 執行役員副社長の石黒憲彦氏は、「当社の生体認証は、世界70以上の国と地域で1,000システム以上導入され、出入国管理や国民ID、エンターテインメント業界のチェックインシステムなど、幅広い分野で利用されています」と話す。
さらに、「COVID-19の事態を受けて、マスクをしていても顔を認識できるように技術を改良した」と述べた。

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日本電気株式会社(NEC)取締役 執行役員副社長 石黒憲彦氏
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改良した顔認証技術は、マスク着用時でも99%以上の高い認識精度が得られたという。
こうしたNECの技術は、スターアライアンスの生体認証搭乗サービス”Star Alliance Biometrics”にも導入され、2020年11月よりドイツのフランクフルト空港とミュンヘン空港でサービスが開始されている。

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フランクフルト空港 マスク着用したままでも、顔認証され、タッチレスで搭乗手続きが可能に
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スターアライアンスのCEOであるジェフリー・ゴー氏は、「業界全体が困難な状況にありますが、以前から進めてきたデジタルトランスフォーメーション(DX)を核としたサービス変革を毅然として進めることにしました」とし、「我々は、この危機を無駄にせず、逆に変革を進める機会と捉え、より安全快適な顧客体験実現を目指しています」と次世代の顧客体験の創造についても触れた。

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スターアライアンス CEO ジェフリー・ゴー氏
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航空業界全体の回復には、生体認証も鍵の1つに

パネリストたちは、航空業界の回復への道のりについても議論した。

マッキンゼーのアナリストよると、2024年までには回復しないと予測されレジャー旅行が回復への原動力になる一方で、ビジネス出張は、回復までに時間がかかるとしている。

ゴー氏は、回復には生体認証の活用も重要になるだろう、と強調する。「本格的な旅行再開を目指すには、(空港で手作業で行われている)ワクチン接種証明や(PCR検査等の)検査結果の確認をより効率的かつ確実に実施する必要があります。これらの証明書は、『IATAトラベルパス』や『コモンパス』等、いわゆる『デジタル健康証明書』としてデジタル化されつつあります。(搭乗予約システムと連携している)Star Alliance Biometricsのアプリと、これらのデジタル健康証明書を連携することで、アプリ上で証明確認ができ、空港での確認手続きを減らせます。検査プロセスの改善、ひいては安全な旅行再開促進に向けて重要な役割を果たすことができるでしょう」と話した。

成田国際空港株式会社の宮本氏は、生体認証サービス利用者のプライバシー保護の向上のため、関係各所と足並みを揃え、密に連携することの重要性を説いた。

Face Express導入時は、国土交通省航空局が主導となり、政府当局や空港、エアライン関係者の他、セキュリティ専門家、消費者組合など各関係者と協力し、個人情報とプライバシーを適切に保護するためのガイドラインを策定したという。
このガイドラインには、個人情報における使用用途の開示、一時的な使用や保存に対する利用者の同意取得、搭乗便出発から24時間以内の削除などが定められている。

また宮本氏は、「生体認証技術は、空港内での利用者の利便性を向上させるだけでなく、空港外のショッピングでの決済、ホテルのチェックイン、イベント会場への入退場、公共交通機関の運賃決済などでも活用が期待できます。空港内に限らず旅行体験全体をより快適なものにできるでしょう」とし、その可能性の大きさにも触れた。

NECでは現在、「南紀白浜IoTおもてなしトライアル」で生体認証の可能性を探っている。

顔写真とクレジットカード情報を登録すると、和歌山県の南紀白浜空港をはじめ、テーマパークやホテル、土産物店などで、顔認証での決済が可能になる。わざわざ財布やスマートフォンを持つことなく、地元の商店街や観光スポットを楽しむことができるという。

石黒氏は、「5Gが普及していく中で、近い将来、よりシームレスでストレスフリーな顧客体験を提供し、新たな顧客価値やビジネスチャンスの創出に貢献したい」と力を込めて、語った。