「オルタナ右翼」指導者、二度殴られる 差別主義者への暴力は許されるのか議論に(動画)

「ナチスなら殴っていのか」

ナチス思想に傾倒し、人種差別的な発言を繰り返す極右運動「オルタナ右翼」の指導者リチャード・スペンサー氏が、ドナルド・トランプ大統領就任式があった1月20日、反トランプのデモ参加者に襲撃された動画が波紋を起こしている。

スペンサー氏が、1月20日のトランプの就任式中に勃発した暴動についてテレビのインタビューを受けていた時、フードをかぶったデモ参加者が右から横切り、無防備なスペンサー氏を襲った。

白人至上主義者のスペンサー氏は当初、この出来事を軽く見て、「アンティファ(反ファシズム)に二度暴行を受けた。深刻な被害はなかった。パンチを食らうこともある」とツイートしていた。

もう一つの襲撃がどこであったのかは不明だったが、26日、Twitterユーザーが画像を公開した。

しかしスペンサー氏は後に動画をアップロードし、襲撃事件について「本当に恐ろしい出来事」だと述べた。

『平和的な』抗議デモの参加者がリチャード・スペンサーに襲いかかった。白人至上主義者が人を殴るのを見たことがない。

別のツイートの中でスペンサー氏は、「1月21日に、コロンビア特別区の警察に届け出るつもりだ」と書いた。

オンラインでアップロードされた別の動画によると、スペンサーを殴った人物が動画にさらされている。

スペンサー氏は、「襲ってきた男は前にも自分を殴ろうとしたが、完全に接触することはできなかった」と述べた。

私への襲撃

私の唯一間違ったのは、獣じみた奴らがDCを駆け抜ける公共の通りでインタービューを受けたことだ。

自分は軽めのオルタナ右翼だから、アンティファのゴロツキどもの標的にはならないと思うなら、よく考えることだ。やつらにとっちゃ、私たちはみんなナチスなんだ!

投稿した自身の動画の中でスペンサー氏は、その男は戻ってきて「力いっぱい私を殴った」と語った。

「突然やって来て、奴は私の耳をいきなり殴った。今、私の右耳はよく聞こえない」

スペンサー氏によると、周囲の人々が彼を守ろうとしたが、別の人に唾を吐きかけられたという。

「暴行されたのはこれで3度目だ。本当にひどい暴行だ。一番卑怯なやり方で殴られた」

スペンサー氏は後で次のようにツイートした。

私は闘いを恐れないが、不意打ちのパンチを食らわし、女性や母親たちを標的にする敵を尊敬することはできない。

列車に乗っているトランプ支持者を脅す、パイプで支持者を殴る、不意打ちで殴る…私たちはアンティファの退化を目の当たりにしている。

不意打ちのパンチ、投げつけられた卵、追跡される白人のトランプ支持者……これらすべてが時代の赤い錠剤(真実を知ることができる)だ。私たちは闘わずとも勝っている。

私は、リチャード・スペンサーを殴った、魂を失った男を追跡している。

■ 「ナチスなら殴っていのか」議論に

この殴打事件に対し、いくら白人至上主義者とはいえ、いきなり殴る行為は正当化されるのかという議論が巻き起こった。

否定的な立場の人は、暴力は言論の自由を妨げるという意見だ。

難しい問題だ。しかし言論に対して暴力を囃し立てるのは、その対象が最も嫌悪すべき、最低の類であっても民主主義を成熟させるものにはならない。

もしあなたにとって、殴られたナチが丸腰の黒人の子供を射殺する警官よりも平和を乱す存在なのだとしたら、あなたも問題の一部だ。

しかし、「ナチスが相手なら暴力を振るってもいい」という意見も根強い。

簡単なことだ。リチャード・スペンサーの顔が殴られて万歳だし、気にしない。奴は本当のナチだ。もう一回殴れ!

ナチスを殴っても、社会的規範は壊れない。社会的規範は、他者を根絶したい人間たちに言論の機会を与えた時に壊れる。

ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。

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