ケモカイン受容体の小分子アンタゴニスト

今回2つの研究グループが、それぞれ異なるケモカイン受容体について、小分子阻害剤と結合した状態の結晶構造を報告している。

ケモカイン受容体群はGタンパク質共役受容体のファミリーの1つであり、免疫細胞の移動を調節していて、その機能は広範囲にわたる疾病に関与するとされてきた。

今回2つの研究グループが、それぞれ異なるケモカイン受容体について、小分子阻害剤と結合した状態の結晶構造を報告している。T Handelたちは、自己免疫疾患や炎症性疾患、代謝性疾患に加えて、がんでも薬物標的となると期待されているCCR2が、オルソステリックアンタゴニスト(BMS-681)とアロステリックアンタゴニスト(CCR2-RA-[R])と結合した状態の構造を示している。

一方、F Marchallたちは、免疫細胞の腸への動員に関わっていて、炎症性大腸炎の薬剤標的として有望視されているCCR9の、CCR9選択的アンタゴニストvercirnonと複合体を形成した構造を報告している。CCR2とCCR9の構造から、受容体の細胞質側表面にある新規なアロステリックポケットが明らかになった。このアロステリックポケットは薬剤開発につながる可能性が非常に高いと思われ、また同様のポケットは他のケモカイン受容体にも存在すると考えられる。

Nature540, 7633

2016年12月15日

原著論文:

doi:10.1038/nature20605

doi:10.1038/nature20606

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