「サッカー以外で、こんなに楽しい経験をしたことない」元日本代表の高原直泰選手が、沖縄でコーヒー豆栽培を始める理由

「ただサッカーをやるだけでなく、こういう取り組みを通して、地域の人と触れ合うことで成長してほしい」
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元サッカー日本代表で、サッカークラブ「沖縄SV」(エス・ファウ)代表、監督、選手を務める高原直泰さんが4月17日、沖縄で国産コーヒー豆を栽培するプロジェクトについて記者会見を開いた。

高原さんは「サッカー以外で、こんなに楽しい経験をしたことはない」と、スポーツを入り口に地域に関わるプロジェクトの魅力を語った。

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記者会見する高原直泰さん
Rio Hamada / Huffpost Japan

沖縄でコーヒー栽培「スポーツ産業をこれから育てていきたい」

高原さんは2015年、沖縄にサッカークラブ「沖縄SV」を立ち上げ、会社の代表とチーム監督を務めながら、現役の選手としても所属している。

「観光・ITに次ぐ沖縄産業の第3の柱として、スポーツ産業をこれから育てていきたいというのが、チームを作ったきっかけです」

その思いから、これまでも伝統工芸「かりゆし」のスポーツポロシャツや、県産のもろみ酢やシークワーサーを使った「アスリートドリンク」など、地域などと連携して商品を開発してきた。

今回の「沖縄コーヒープロジェクト」もその一環だ。食品メーカー大手ネスレ、名護市、琉球大学との産官学連携で、沖縄初の国産コーヒー豆の栽培をめざす。

「チームとして農業に関わっていく中で、沖縄における一次産業の問題点に気づいて、スポーツを通して解決していけるようなきっかけに自分たちが関われないかとずっと考えていました。小規模ですが、沖縄でコーヒー栽培している人がいると伺い、住んでいる近くにもコーヒーショップがあり、可能性があるのかなと感じました」

選手たちは自主参加で、コーヒー豆の種植えや苗木の移植などに携わっており、週1、2回程度のペースで作業を進めている。

4月23日に名護市の農地に苗木を移し始め、20年4月にも最大1万本の移植を予定。2022〜23年の収穫を目指している。

 サッカークラブが、なぜコーヒー豆栽培?

沖縄SVはアマチュア選手が大半を占め、仕事の合間を縫って、サッカーへの時間に充てているという。ただでさえ限られたサッカーの時間を使ってまで、なぜコーヒー豆を栽培するのか。

「なぜ関わらないといけないのかと思う選手もいたと思います」

そうした選手たちに対して、高原さんは「チームはこれから作り上げていかないといけない。ただサッカーをやるだけでなく、こういう取り組みを通して、地域の人と触れ合うことで成長してほしい」と、プロジェクトへの理解を求めたという。

背景には、地域に関わる活動が結果としてサッカーやクラブの発展につながるという信念がある。取り組みの意図について、次のように語る。

「自分がサッカーチームをつくってみて、地域の人に『頑張っているから応援してくれ』と呼びかけても難しい。ただ、一緒に取り組みをすることで、彼らが『サッカーは分からないけれど見に行ってみよう』と思うきっかけになります。実際に試合に見にきてくれたり、そこでコミュニケーションが生まれたりします」

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記者会見する高原直泰さん
Rio Hamada / Huffpost Japan

 「サッカー以外で、こんなに楽しい経験をしたことない」

高原さん自身も、初めからサッカー以外のことに関わる重要性を意識していたわけではなかった。各世代で日本代表に選出され、日本を代表するエースストライカーとして活躍していた当時は、「自分がどうなりたいという野心の方が強かった」という。

きっかけはドイツ・ブンデスリーガでの経験。さらに、その後に数々のクラブを渡り歩いく中で、サッカーに対するいまの考え方につながっている。

「ドイツはどの街にもサッカークラブがあります。そこにコミュニティが生まれ、みんなが積極的に関わりを持っています。ただ試合に出て活躍する、ということ以外のことを学びました」

今回の「コーヒープロジェクト」は、高原さんのこれまで得たことを踏まえた、新しい挑戦の一つだ。

 「正解とは思っていません。いろいろな取り組みで地域との関わりを作っていきたい。やっていけないことはないので、色々なことにトライしていきたい」

 「サッカー以外で、こんなに楽しいことを経験したことはない」

 最後に満面の笑みで、報道陣に対してそう語った。

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高原直泰さん(左から2人目)
Rio Hamada / Huffpost Japan