長崎への原爆投下から68年目となる8月9日、安倍晋三首相が長崎平和記念式典でスピーチを行った。先に壇上に上がった長崎市長が「被爆国の原点に帰れ」など、政府の核政策を厳しく批判したが、首相は日本が国連に提出した核軍縮決議の採択について触れるなど一定の成果をアピールしている。
安倍首相は憲法改正を7月の参院選の争点の一つに据え、65議席を得て大勝。選挙後は政府の憲法解釈を担う重要ポスト、内閣法制局長官に前例のない外務省出身の小松一郎氏を任命するなど、憲法改正に向けて準備を進めている。
昨年までの民主党政権下の野田元首相、菅元首相が平和記念式典で行った挨拶に含まれていた、「憲法を遵守」という文言は安倍首相の挨拶にはなかった。
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以下、安倍首相の挨拶を全文で引用する。
本日、被爆68周年、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に臨み、原子爆弾の犠牲となった方々の御霊に対し、謹んで、哀悼の誠を捧げます。今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる皆様に、心から、お見舞いを申し上げます。
68年前の本日、一発の爆弾が、7万を上回る、貴い命を奪いました。12万人が暮らしていた家屋を全焼、全壊し、生き長らえた方々に、病と障害の、さらには生活上の、言葉に尽くせぬ苦難を強いました。
一度ならず、二度までも被爆の辛酸を嘗めた私たちは、にもかかわらず、苦しみ、悲しみに耐え立ち上がり、祖国を再建し、長崎を、美しい街として蘇らせました。今日は、犠牲になった方々の御霊を慰めるとともに、先人たちの奮闘と、達成に、感謝を捧げる日でもあります。
私たち日本人は、唯一の、戦争被爆国民であります。そのような者として、我々には、確実に、「核兵器のない世界」を実現していく責務があります。その非道を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがあります。
昨年、我が国が国連総会に提出した核軍縮決議は、米国並びに英国を含む、史上最多の99カ国を共同提案国として巻き込み、圧倒的な賛成多数で採択されました。
本年、若い世代の方々を、核廃絶の特使とする制度を始めました。来年は、我が国が一貫して主導する非核兵器国の集まり、「軍縮・不拡散イニシアティブ」の外相会合を、広島で開きます。
今なお苦痛を忍びつつ、原爆症の認定を待つ方々に、一日でも早くその認定が下りるよう、最善を尽くします。被爆された方々の声に耳を傾け、より良い援護策を進めていくため、有識者や、被爆者代表を含む関係者の皆さまに、議論を急いで頂いています。
長崎の御霊を悼む朝、私は、これら責務に、旧に倍する努力を傾けていくことをお誓いします。
結びに、いま一度、犠牲になった方々の御冥福を、心よりお祈りします。ご遺族と、ご存命の被爆者の皆様には、幸多からんことを祈念します。核兵器の惨禍が再現されることのないよう、非核三原則を堅持しつつ、核兵器廃絶に、また、世界恒久平和の実現に、力を惜しまぬことをお誓いし、私のご挨拶といたします。
※首相のスピーチについて、皆さんはどう思いますか。ご意見をお寄せください。
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