朝起きたら、息子が発熱していた。学校への欠席連絡、どうしようーー。こんな悩み、小学生の子どもを持つパパママなら、経験したことがあるかもしれない。
長野県塩尻市では、生徒の欠席や遅刻をスマホやパソコンで連絡できるシステムを導入している。教師の働き方改革の一環で、2018年9月に試験運用がスタート。10月からは希望する小中学校でシステムを利用できるようになったが、意外にも新規の導入校はゼロだという。なぜ、便利なシステムが広まらないのか。
専用サイトから24時間アクセス可能
システムは、塩尻市教育委員会が学校関係者と共同で作成。専用サイトに学年やクラス、氏名、欠席理由などを入力するだけで、24時間いつでも送信できる。送られたメールは、学校のパソコンで確認する。塩尻市教育委員会の担当者は「電話やノートによる連絡が多く、全国的にも珍しい取り組みではないか」と話す。
2018年9月に試験的に運用を始めた丘中学校では、以前は電話による欠席連絡が朝の始業前に集中していたが、今では多い時で8割がオンラインで連絡するようになった。保護者や教職員からも好評だという。市教委の担当者は、「電話1件に取られる時間は1分半程度。実際の削減時間は小さいかもしれないが、仕事を電話で中断されることがなくなれば、効率的に働けるようになる」と期待する。
教育現場ではやり方を変えることに抵抗が強い?
市教委は10月に市内の公立小中学校にシステムを周知し、希望する学校に導入を促している。だが、「使いたい」という学校はゼロ。担当者は「学校現場では従来のやり方を変えることに抵抗感が強いのだと思う。システム自体は無料で簡単に使えるものだが、様子見しているのかもしれない」と残念がる。
東京都内では、教師の電話対応の業務負担を減らすため、欠席や遅刻の連絡を連絡ノートに限る学校も多い。朝の忙しい時間帯に、連絡ノートを託せる近所の同級生を探すのは簡単ではない。オンラインシステムの導入を望む保護者の声は大きい。