感動的なストーリーのはずが、まさかの展開になってしまった。
中国・成都市で営業を再開した飲食店が「N95マスクミルクティー」なる飲み物を開発したところ、ネット上で批判が相次ぎ、地元当局が調査を始める事態にまでなった。
■マスクは特に関係ない
現地ニュースサイト「中国新聞網」によると「N95マスクミルクティー」は、台湾出身の男性が自身の働く飲食店で開発・販売した。
N95マスクとは医療現場などで使われる気密性の高いマスク。このミルクティーはカップにマスクの絵がプリントされているだけで特にマスクとは関係がないが、発売から1年間は医療関係者には無料で振る舞うとされた。
爆発的な感染拡大に貢献した医療関係者を労うという、感動的なストーリーとして伝えられるはずだったこのニュース。しかし、その成分が問題視された。
配合されたのは、5グラムのブラウンシュガーと10グラムの板藍根(ばんらんこん)。デジタル大辞泉によると、板藍根とはホソバタイセイなどアブラナ科の植物の根を乾燥させて作る漢方の材料で、風邪の症状などに対して服用されるという。
中国のSNS「ウェイボー」では、このニュースに対して「適当に漢方薬を混ぜるの良くない」「飲んで平気なのか」と疑問視するコメントが相次いだほか、「新型コロナを利用した宣伝ではないか」などといった批判も寄せられた。
この騒ぎに、地元当局も反応した。成都市の市場監督管理局は「関連する規定により、食品にみだりに薬物原料を入れてはならない。この違法行為について調査活動を開始する」とコメント。「これぞ役所の投稿だ」など支持する声が上がっている。