トランプ氏が勝利してから、イスラム教徒の女性はこんな攻撃を受けている

多くの人が最も恐れていたことが現実になりつつある。
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アメリカ大統領選後、イスラム教徒の女性がトランプ支持者とみられる白人から攻撃を受けたという報告が相次いでいる。

11月8日、アメリカの有権者はドナルド・トランプ氏を大統領に選び、多くの人が最も恐れていたことが現実になりつつある。有色人種に対する暴力がアメリカ各地で発生し、中でも最もターゲットになっているのがイスラム教徒の女性たちだ。

選挙後、イスラム教徒、アフリカ系アメリカ人、メキシコ系アメリカ人などが言葉による暴力や身体的な攻撃を受けていると報告されている。メキシコからの移民を「レイプ魔」と呼び、イスラム教徒をアメリカから追い出すと発言したトランプ氏をアメリカ人が選んだ選挙からわずか数日のことだ。今、有色人種の人たちは対応策を探っている。

トランプ氏の名前を利用した攻撃もある。サンディエゴ州立大学のある女性は、2人の男がトランプ氏とイスラム教徒について何か言った後、物品を奪ったと訴えた。別の女性はイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校付近のバスの中で、トランプ支持者が友達にナイフを突きつけたと報告した。ニューメキシコ州アルバカーキに住むイスラム教徒の女性リーナ・アガドさんは、ある男にヒジャブ(イスラム教徒の女性が人前で髪を隠すのに用いるスカーフ)をはぎ取られそうになったと語った。

アガドさんはハフィントンポストUS版の取材に「イスラム嫌悪の暴力行為はもちろん怖いです。この先もっと暴力事件が起きると思っています。トランプが大統領になったら、大勢の人がもっと堂々と人種差別的な考えに従って行動すると思います」と語った。

みなさん、あるトランプの支持者が私のヒジャブをはぎ取ろうとしました……もう冗談じゃ済まされません。白人以外はみんな標的にされています。気をつけて。

このようにイスラム教徒の女性への攻撃が報告されているが、それ以外で同じような被害に遭っているグループもある。SNSには人種差別的な攻撃を目撃したというコメントが溢れている。現在カンザス大学では、危険を感じている生徒を教室まで連れて行くボランティアを募集している。

これはトランプ氏の言動を恐れていた人にとって、最も懸念していたことの1つだ。トランプ氏が選挙に勝ったことで、人々は自分と外見の違う人を憎むことを正当化し、暴力に走るようになる。多くのイスラム教徒は、もうアメリカが(特に保守的な都市やその周辺地域では)安全に出歩くこともできないと感じている。

アガドさんは「私も家族も本当に生活するのが怖いと感じています。今は唐辛子スプレーなどいろいろな方法で自分の身を守らなければいけません。自分の故郷では安全を感じられるべきです。この国にとって最適の結果を望んでいますが、残念ながらトランプは最適な人物ではありません」と語った。

現在、アメリカの各地でイスラム教徒の女性が被害に遭っている。安全への懸念から、ヒジャブを外すことを検討している人もいる。ヒジャブは頭に巻くスカーフで、信仰を象徴し、さまざまな個人的な理由で身に着けるものだ。

母から「お願いだからヒジャブを巻かないで」とメールが来た。 うちの家族の中で一番信仰が厚い人なのに……

実は母と姉妹が、安全のためにこのままヒジャブを身につけていいのか話し合っている。

今日で安全にヒジャブを身に着けられるのが最後になるのかと脅えている。

2001年の911の同時多発テロ事件以降、イスラム教徒に対するヘイトクライムが急増した。しかしここ最近は緊張は弱まっていた。しかしIS(イスラム国)の台頭とトランプ氏の反イスラム発言により、イスラム教徒に対するヘイトクライムは2001年と同じレベルに戻ってしまった。

イスラム教徒は解決策を見つけるために集結している。イスラム教徒のコミュニティを擁護、支援する団体「アメリカ・イスラム関係評議会(CAIR)」は、「やるべき仕事がたくさんある」という。

ダラス支部は、この1年、街にあるモスクの外で武装した自警団に抗議する戦いに奔走してきた。また支援イベントや自己防衛のためのワークショップの開催を企画している。コミュニティは、このようなイベントが当たり前になっているのが現実なんだと受け入れなければならないとサレムさんは言う。

「私たちが最も恐れていたことが現実になっています。でもこれが今私たちの置かれている状況なんです。大きな懸念はありますが、行動を起こそうという声が圧倒的です」

CAIRは不安定な状態を改善するため、10日に声明を発表し、トランプ氏に対して自身の支持者が起こしている攻撃を拒絶するよう求めた。彼は懸念しているが、サレムさんは楽観的で仲間のイスラム教徒たちに冷静になるように呼びかけている。

「私たちは絶望の共同体ではなく、行動を起こす共同体です。お互い励まし合って日常生活を送ることが大事です。しかし行動的なコミュニティリーダーを必要としています。私たちはパソコンの画面の後ろに隠れ、恐怖に打ちのめされています……安全には気をつけないといけませんが、生活もしなければならないので」と、ヒジャブを巻いたサレムさんは述べた。

選挙が終わってまだ間もないが、すでに暴力行為は増えている。 最低でも4年間はトランプ氏が大統領の座にいるから、今後どうなるのかはまったく分からない。たとえ攻撃が弱まっても、多くのイスラム教徒はアメリカで安心できる日がいつになるのか分からない。そんな時が来ればの話だが。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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