今回、斎藤通紀(京都大学)たちは、サル胚に単一細胞RNA発現解析法を用いて、このサル種の初期発生中の遺伝子発現を解析し、マウスおよびヒトの初期胚での遺伝子発現と比較することで、哺乳類における多能性の個体発生過程での特徴を種横断的に明らかにした。
意外なことに、ニューロン分化過程にあるサル細胞は、原腸形成期にも多能性関連遺伝子群を発現し続けていた。この解析結果は、主要な動物種における発生段階ごとの多能性幹細胞の相対的な特徴を知るための手掛かりとなり、in vitroでのヒト多能性の調節を向上させる基盤の確立に役に立つだろう。
Nature537, 7618
2016年9月1日
doi: 10.1038/nature19096
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