イギリス下院は10月13日、イスラエルとともにパレスチナを国家として承認するという、歴史的で象徴的な決議を下院で採択した。投票結果は賛成274反対12で賛成票が262票上回り、政府が「協議中の二国家解決案への貢献」の一環として「パレスチナ国家ならびにイスラエル国家を承認」することを強く推進する結果となった。
投票の結果は拘束力をもたない。下院後方席の討論会でトビアス・エルウッド中東担当相は、適切な時期にパレスチナ国家は承認されると述べ、イギリスがいつパレスチナ国家を受け入れるかが「重要」であると付け加えた。さらに「この切り札を使うことができるのは一度きりである」と強調した。
保守党幹部であるエルウッド氏はまた、パレスチナ国家を実現するにはイスラエルによる占有が終結する必要があるとした。エルウッド氏は、下院議員らがパレスチナ国家の承認を決議する審議を行った際にこのように述べたが、労働党、そして「協議中の二国家解決案への貢献」の一環としてパレスチナ国家を承認するというジャック・ストロー元外相の修正案が、この動議提出の動きを後押ししている。
しかし彼は、イスラエルの入植地建設を支援する者が(イギリスは自身をそのようにとらえているわけだが)平和のために尽力しているとは主張しがたい状況を作り出していると言う。またエルウッド氏は、国会議員がパレスチナ国家の承認決議を行ったことに影響があるのか、中立的なのか、または影響力がないのかを聞かれてこう答えている。「イギリスは、和平プロセス、またこの包括的な決定が下される適切な時期を選択する権利を主張するという、我々の立場を極めて明確に示した」
彼はさらにこう続けている。「先週私は パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長とラーミー・ハムダラー首相)に会ったが、我々は彼らの統率力、そして強調性と制度改革を実現しようという彼らの貢献を称えたい。しかし彼らの貢献しても、そしてイギリスなどの支援に関わらず、イスラエルの占有が終わらない限りパレスチナの人々の願いは実現されない...また我々は協議のみがその成功につながると信じている」
「私が強調したいのは、カイロ会談後にその緊急性が認識されたのも、本格的なプロセスが至急再開されることをイギリスが願っているということだ。それが実現した時こそパレスチナ問題に再び取り組むべき時なのだ。占有を終わらせた時だけ、パレスチナ国家が現実のものとなる。平和を実現するための状況が整ったと判断した時、イギリスはパレスチナ国家を包括的に認めるだろう」
動議に賛成することでどのような違いをもたらすことができるかという質問に対し、エルウッド氏はこう答えている。「結局、切り札はこれ(国家承認)しかない。いったんこの切り札を出したら出し直すことはできないため、その時期が非常に重要となる」彼はこう付け加えた。「イギリスは和平プロセスに最も役立つと考える時期にパレスチナ国家を承認する。なぜなら、占有を交渉によって終結させることは、国家に対するパレスチナ人の願いを現地で実現する最も有効的な方法だからだ」
トリー・ロバート・ハーフォン 氏はこう述べている。「パレスチナ国家の実現には同意する。実際は、すでにヨルダンというパレスチナ国家があるということに気付いている人は少ない。1921年にイギリス人によって設立され、もともとはトランス・ヨルダンと呼ばれていた。新しく建設されたイスラエルとの間で起こった1948-49年の戦争の後、ヨルダン人君主アブドゥラは、自国が西岸を統制していたことから、ヨルダンとパレスチナの王であることを自称している」
「現在ヨルダンにいるアラビア人の大半は実際パレスチナに居住したアラビア人の子孫である。気を付けないと3つのパレスチナ国家が建設されてしまう。具体的にいうと1つの国家と2つの小国である。1つはヨルダン・ハシミテ王国に統制されていて、現在その国境はイスラム国 (ISIS) の脅威にさらされている。2つ目はファタハ(パレスチナ自治政府の主流派)に統制される西岸地域、そして3つ目はハマス(イスラム原理主義組織)が統制するガザ地区である」
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー