モロッコ、太陽光でエネルギーの自給自足を可能に? その計画とは

モロッコは、太陽熱発電所の開設に成功してから、輸入石油への依存を劇的に減らす道を進んでいる。
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モロッコは、太陽光発電所の開設に成功してから、石油の輸入依存度を劇的に減らす道を進んでいる。「ノア1」と呼ばれる発電所はプロジェクトの第1段階で、やがて世界で最も大きな集中型太陽熱発電所になる見込みだ。

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モロッコは2月4日に新しい太陽光発電所をワルザザートに開設した。

この国は歴史的にも、エネルギー資源はほぼ全面的に外国からの輸入に頼ってきた。現在は、その有り余るほどの太陽光エネルギーを経済的資産に変える方法を見つけている。

2018年にプロジェクトが完了すれば、モロッコは化石燃料への依存を石油250万トン分減らし、ヨーロッパに輸出できるだけのエネルギーが十分残ると予想されている。

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国王ムハンマド6世は2016年2月4日、65万人のモロッコ人に電力を供給する計画「ノア1」の太陽光発電所の第一段階を開始させた。

モロッコの国王ムハンマド6世が2月4日、砂漠の都市ワルザザートで行った、熱量を動力に変えるプロジェクトの開業式には、フランスのエネルギー大臣、セゴレーヌ・ロワイヤルや気球操縦者のベルトラン・ピカールなど有名なゲストが列席した。

モロッコの砂漠に、50万個の湾曲した鏡が列をなして並び、宇宙からも見える広さに及んでいる。

このプロジェクトは、世界銀行、アフリカ開発銀行、ヨーロッパ投資銀行、民間の関係者らが資金を拠出し、第一段階にかかった費用は8億9400万ドル(約1000億円)とされている。モロッコ政府関係者によると、プロジェクトの総費用は約90億ドル(約1兆円)になる見込みだ。

「ノア・プロジェクトにより、モロッコはエネルギー自給を達成することができるでしょう」と、モロッコのムスタファ・エル・カルフィ逓信大臣はハフポストマグレブ版に語った。

ノア1は最初は65万人の住人に160メガワットの電力を供給する、とガーディアン紙は報じた。やがては、一日に20時間110万人に580メガワットの電力を起こすと期待されている。

2018年までにノア・プロジェクトを完成させようと、政府はモロッコの他の諸都市にも発電所を造る計画だ。発電所は、合わせて2千メガワットの太陽エネルギーを生み出すことになり、モロッコの炭素排出を年76万トン減らす見込みだ

ノア1だけでも、やがては炭素排出を年24万トン減らすだろう、とモロッカン・エージェンシー・フォー・ソーラー・エナジーの社長は述べた。同会社はワルザザートの発電所の造設に6年を費やした。

YouTubeに投稿されたこのビデオ(フランス語)では、ノア・プロジェクトの全体像が窺える。

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モロッコのワルザザートにあるノア1太陽光発電所は、50万個の湾曲した鏡を使い、太陽エネルギーを利用する。

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ノア1は、将来的に110万人の地元住民に電力を供給することが可能になるという。

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完成すれば、ノア・プロジェクト全体で、炭素放出を年76万トン減らすと期待されている。

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ノア・プロジェクトにかかる費用は約90億ドル(約1兆円)と予想され、これはすでに様々な利害関係者により保障されている。

プロジェクトはこれまで絶大な称賛を得ている。ドイツのヴッパータール研究所と非政府団体ジャーマン・ウォッチが行った研究では、「地方レベルでの鉱業活動や化石燃料を使う発電所に関連した潜在的な危害と違い、ノア1によるマイナスの影響は少なく、公衆衛生や大気、水の汚染などの分野でもかなり影響が少ない」ことがわかっている

「これは、アフリカではとても意義のあるプロジェクトです」。この発案への出資をサポートした組織団体、クライミット・インベストメント・ファンドのマネージャーは述べた。「モロッコは真のリーダーシップを示し、その過程で技術にかかる費用を押し下げています」

「新しい発電所はエネルギーの安全確保と職の創出につながるだろう」と世界銀行のマグリブ地域担当者は語った。「未来のクリーン・エネルギーへ向けてのこの大胆な一歩により、より環境を考慮した開発を先駆け、最先端の太陽技術を発展させようとしています」

モロッコでは2016年11月、国連気候変動会議、COP22が開催され、世界の指導者たちが地球規模の温室効果ガスの放出を減らすための戦略を論議する。

研究によれば、気候変動による影響を受けるリスクのある北アフリカでは、炭素排出を減らす率先性はとくに重要だという。降雨量の低下や気温の上昇は、作物が生育できる期間を短くし、穀物の収穫を減らし、最終的には重要な歳入源である農地を脅かすことになる。

モロッコは2030年までにクリーン・エネルギーの産出を52パーセントにすることを目標にしている。新しい太陽光発電所の事業のほかに、モロッコは水管理においてもリードしていて、同国内の被害を受けやすいオアシスを保護することにより、砂漠化に対抗しようとしている。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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