衆院予算委員会の集中審議(4月11日)において、財務省が森友学園に関する決裁文書を精査せずに決裁していたことが明らかになり、騒然とする場面があった。
■財務省「そこまでちゃんと見ていなかった」
立憲民主党の川内博史氏は、2017年2月22日に財務省の佐川宣寿理財局長(当時)や国土交通省の担当者らが菅義偉官房長官に森友問題の経過説明をしたとされる場面について質問した。
この時に同席していた中村稔・理財局総務課長について、川内氏は「森友学園の特例承認の本省の担当課長だった」と指摘。菅官房長官への説明時点で、決裁文書に安倍昭恵首相夫人の名前が記されていたことを認識していたかを財務省に尋ねた。
これに対する財務省・太田充理財局長の答弁はこうだ。
「本人に確認しました。『責任はありますが、正直に言うと、そこまでちゃんと見ていなかったので、覚えてませんでした』というのが、彼の正直な発言です」
太田氏は「決裁に判子を押す、ついた人間は、書類を把握しておく責任がある」とも述べたが、議場は騒然となった。
休憩明けの午後イチの答弁でも、太田氏は「決裁文書に判子を押す人間は、それを読んでなくとも責任は全てある。本人も大変申し訳ないと、ものすごく反省している」と答弁。「決裁文書を読んでないとは話にならない」とヤジが飛び、委員会室は騒然となった。
川内氏は「そういう方が企画課長であり、理財局の事務責任者の総務課長とは信じられない。ありえない」「読んでないという答弁が出るとは思わなかった」と強く批判した。
■麻生財務相「私自身も正直、読んでない書類を決裁」
続いて質問に立った立憲民主党の枝野幸男代表は、「決裁した当人が読んでいないというのは役所としてタガが外れすぎ」と批判。麻生太郎財務相に見解を質した。
麻生財務相は「読んでないというのは通常じゃ考えられない」とする一方、「沢山の書類であって、判子が十いくつ押してあったそうですけれど、その中で読んでない人もいたかも知れない。それはあり得るかなという感じはする」と、文書内容を精査せずに決裁がおこなわれている実態を認めるような発言をした。
これを聞いた枝野氏は、「決裁をしているということは、決裁者が中身を読んで、担当者として責任を持って了解をする。その必要があるから決裁権者になっている。その人が読まずに決裁していたら、十分に懲戒処分の対象では」と、麻生財務相に詰め寄った。
これに対し、麻生財務相はこう答えた。
「そちらも役所におられたんで色々経験されたと思いますが、ずーっと判子を押したやつの中を全部私どもが読んでいるかと言われると、私自身も正直、読んでない書類に関して決裁の判子を押していることはありますから」
「全文書を全部読んでいるかといわれると、私はその自信はありませんので、そういうこともあり得るだろう」
枝野氏は「決裁権者として中身を判断し、決裁しなければならなかった人が、読んでもいなかったと公然と認めた。当然、懲戒処分に向けた対処をはじめますと最低限そうならないとおかしい。もはやこの国の行政機関の建前が崩壊している」「こんな無責任なことはありえない」と、重ねて批判した。