森友学園への国有地売却をめぐり、財務省が「決裁文書を書き換えた疑いがある」とする朝日新聞の報道を受けて、国会が空転している。
- 【これまでの経緯は⇒】森友学園めぐり財務省が公文書改ざんか 朝日新聞が報道、どんな内容だった?
そんな中、毎日新聞が新たな文書の存在を3月8日に報じた。近畿財務局への情報公開請求で入手したものだという。
そこには、財務省が森友学園に「土地の売却価格」を提示したとする内容が記されていた。「本件の特殊性に鑑み」「学園に価格提示を行う」といった文言も含まれていた。
財務省はこれまでの国会答弁で、森友学園とは、事前に価格交渉をしていないとする答弁を繰り返している。毎日新聞が報じた決裁文書の内容が事実であれば、国会答弁とズレていることになる。
2017年2月に森友学園をめぐる問題が発覚後、財務省は国会に対して国有地取引に関する決裁文書を開示した。しかし毎日新聞は、今回の文書がそれとは違う「別の文書」だと伝えている。
■毎日新聞が報じた「別の文書」とは?
書き換え疑惑のある決裁文書については、朝日新聞が2月2日・3日に文書を「確認した」と報道。「契約当時の決裁文書」と「2017年に財務省が国会に開示した決裁文書のコピー」で内容に違いがあるとし、文書が改ざんされた可能性があると伝えた。
説明を求められた財務省は3月8日午前、参院予算委員会理事会に「決裁文書の電子データ」と「手書きのチェックが入った決裁文書のコピー」を提出した。
これらの文書は2017年に国会に開示されたものと同じだったため、野党側は「文書が他にないと言えないのであれば、改ざんの疑いは払拭されない」などと反発している。
毎日新聞の報道があったのは、このようなタイミングだった。
これらの表現は、2017年に開示された文書にはなかった。毎日新聞は「文書作成の経緯や疑惑との関連性が議論になりそうだ」と指摘している。
■朝日・毎日が報じた「決裁文書」と国会答弁のズレ
財務省はこれまでの国会答弁で、森友学園との事前の価格交渉を否定する答弁を繰り返している。
・「全て法令に基づいて適正にやっている」(2017年2月24日:佐川宣寿・前理財局長=衆院予算委員会)
・「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」(2017年3月15日:佐川氏=衆院財務金融委員会)
朝日新聞や毎日新聞が報じた決裁文書の内容は、財務省側の国会での答弁と一致していない。今後、財務省側に文書作成の経緯説明を求める声が強まりそうだ。
3月8日の参院予算委員会は午前に引き続き、午後も民進・共産など野党側が審議に応じない状況が続いている。