森友学園への国有地売却に関する決裁文書をめぐる問題で、財務省が3月12日、文書の一部を書き換えたと認めた。
全国紙各紙は3月13日の朝刊で、この問題を一面トップで報じた。しかし、見出しには「改ざん」「書き換え」といった言葉が並び、各社で表現が分かれた。
一面の見出しで「改ざん」と表現したのは、朝日・毎日・東京の3紙だ。一方、「書き換え」としていたのは産経と日経の2紙。読売(東京14版)は「改ざん」も「書き換え」を使わず、「削除」と表現している。
広辞苑で「改ざん」と調べると、「字句などを改め直すこと。多く不当に改める場合に用いられる」と定義されている。また大辞泉では、「特に、悪用するために、勝手に直すこと」とされている。
一方「書き換え」という言葉には、不当・悪用というニュアンスはない。大辞林によると「書き改めること」とされている。
各紙の見出しは、次の通りだ。
朝日「財務省 公文書改ざん」
毎日「森友14文書 改ざん」
東京「森友14文書 改ざん」
産経「森友書き換え 理財局指示」
政治部長名の解説記事の中では、一連の財務省の対応について「いずれにせよ稚拙な隠蔽工作である。これでは公文書改ざんが常態化していたのではないかと疑われても仕方あるまい」と述べ、「改ざん」という言葉を使っている。
日経「答弁に合わせ書き換え」
読売「森友文書15ページ分削除」
■政府は「改ざん」ではなく「書き換え」と説明
一方、政府側はどう表現しているか。
麻生太郎財務相は、記者団に取材に応じた際、「決裁文書の書き換えが行われていたことが明らかになった」「佐川の答弁に合わせて書き換えられたのが事実だと思います」などと説明。
また菅義偉官房長官も、12日の記者会見で記者から「文書の改ざんという認識があるか」と質問された際、「私は書き換えだと思っている」と答えている。
■公文書は国民の財産
歴史家の磯田道史さんは公文書について、ハフポスト日本版の2017年のインタビューに対して次のように語っていた。
「『記録』というのは、病状に対する『カルテ』という意識を持っていないといけません。公文書というのは国民にとっての『カルテ』なんです。それは国民の財産で、政府は開示すべきものです。
国民の側も、悪いことが書いてあったとしても、批判するのではなく、政府と一緒に国を良くする『データ』ととらえて、最善の治療法を一緒に考えないといけない。
カルテをなかったことにしたり、隠蔽したり、改ざんすることは、例えば重篤な病気や悪性の病気を「良性です」と改ざんすることです。
そんな風に記録をいい加減に扱えば、国家は死にます。『国家が死ぬ』ということは、国民が死にかねないということです」