信じられないかもしれないが、冒頭の肖像(映画俳優モーガン・フリーマンの肖像)は、写真ではない。実はこれは、iPad Airを使って、指で描いた絵なのだ。
この肖像画を制作したカイル・ランバート氏は、英国を拠点に活動するビジュアル・アーティストだ。この肖像画のほかにも、iPadで制作したビヨンセやリアーナといったセレブたちのハイパーリアルな肖像画が知られている(これらの作品を見ることができる同氏のYouTubeチャンネルはこちら)。
同氏は「Mashable」の記事で、フリーマン氏の肖像画の制作には1カ月がかかったと述べている。
同氏によればこの作品は、iPad用アプリ「Procreate」を使って制作されたという。「このアプリでは、制作中の画像に筆を加えるたびに、そのデータが自動的に記録される。また、制作した画像はカメラロールにエクスポートできる」と、同氏は説明している。「Procreateはキャンバスのサイズがちょうど良く、(中略)動画をエクスポートする機能もある。そして、『Photoshop』にとてもよく似ている」
以下のYouTube動画では、ランバート氏がモーガン・フリーマンの肖像画を制作した際のプロセスを早送りで見ることができる。
以下の画像は、ハイパーリアルな「猫」を描いたときのプロセスを示すもので、指の使い方がよくわかる。
グラフィックスおよびアニメーション関連サイト「CGArena」が以前にランバート氏に対して行ったインタビューで、同氏は、ハイパーリアリズムの作品を制作する際に、どれほどの忍耐力や、細部に対する注意力が求められるかについて語っていた。
「作品の完成度は、作品の隅々まで、どれだけの時間と労力を注ぐことができたかどうかにかかっている。(中略)大事なことは、作品の対象の観察にできるだけ多くの時間を使い、対象について頭で考える時間を少なくすることだ」
なお、サンフランシスコにあるデ・ヤング美術館では今年の10月、20世紀の英国の現代美術界を代表するひとりとされるデイヴィッド・ホックニーがiPadを使用して制作した絵画が複数展示された。
10月の展示会開催中にAP通信が行った報道によると、美術史の研究者らはこう述べている。「権威のある美術館で、著名なアーティストがiPadで制作した作品を展示することにより、デジタルメディアは活気づけられ、スノッブ的な美術界に、デジタルアートが受け入れられるきっかけになるだろう。タブレット・アートは、展示会が開催されることもまだ珍しく、水彩画や油画よりも低い価格で取引されているのが現状だ」
[Dominique Mosbergen(English) 日本語版:丸山佳伸/ガリレオ]
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