イギリスのフランシス・クリック研究所は2月1日、研究目的でヒト受精卵の遺伝子編集をすることを、イギリス政府から認められたと発表した。正常な受精卵を使う遺伝子編集研究を国が認めたのは、世界で初めて。受精卵を子宮に戻すことは許されない。BBCなどが報じた。
同研究所によると、ロンドンの正確に遺伝子を操作することができる「ゲノム編集」の技術を、ヒトの受精卵を用いて研究することについてイギリス政府直轄の「ヒト受精・発生学委員会(HFEA)」から承認を受けたという。
研究は、ヒト受精卵の正常な発育に必要な遺伝子を調べることが目的だ。実験では不妊治療で余った受精卵を、提供者の同意を得て入手。受精後7日以内の受精卵に改変を加え、発育状態を研究する。改変された受精卵は全て14日以内に廃棄しなくてはならず、それを女性に移植することはできない。
ヒト受精卵の遺伝子操作に関しては2015年4月、中国の科学者が、世界初の実験例を論文で発表。遺伝子操作で望みの身体的特徴を持たせた「デザイナーベビー」の誕生につながると懸念の声が出たり、アメリカの国際幹細胞研究協会(ISSCR)が研究の停止を要請したりするなど、議論を巻き起こしていた。
今回の承認にあたっては、イギリス当局が数カ月にわたって審議。数カ月以内に、研究がスタートする予定となっている。
フランシス・クリック研究所のポール・ナース所長は、「今回の承認は、健康なヒトの胚(受精卵)が成長する仕組みを理解するために重要だ」とコメント。研究を通じて、体外受精や不妊治療の改善につなげたいとしている。
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