「寝ながらスマホ」が体に悪い理由

イギリス情報通信庁の調査によると、イギリス人の10人に8人は、夜に寝ているときも携帯電話のスイッチを入れたままにしている。また、およそ半数の人が、携帯電話を目覚まし時計代わりに使っているという。
Open Image Modal
Compassionate Eye Foundation/Monashee Frantz via Getty Images

イギリス情報通信庁調査によると、イギリス人の10人に8人は、夜に寝ているときも携帯電話のスイッチを入れたままにしている。また、およそ半数の人が、携帯電話を目覚まし時計代わりに使っているという。

さらに、ハフィントンポスト・イギリス版と市場調査会社YouGov社共同調査によれば、イギリスに住む18歳~29歳のスマートフォン利用者の63%が、寝るときは携帯電話やスマートフォンやタブレットをすぐ脇に置いていると回答した。

こうした調査結果からは、われわれがこうした機器にどれだけ愛着を持っているかがよくわかる。だが、睡眠の専門家らは、本物の目覚まし時計を買って、携帯電話は玄関にでも置いておいた方がいいと指摘する。それには、さまざまな理由がある。

第一の理由は、専門家らが過覚醒と呼ぶ状態になりやすいことだ。これは、睡眠中に携帯電話の電源を切らない場合に、特にあてはまるという。

睡眠を研究するニール・スタンリー博士は、「Mail Online」の記事でこう説明している。「夜に快適な睡眠を得るには、安らかな気持ちになり、心配ごとが何もない状態になる必要がある。だが、寝るときに携帯電話を近くに置いていると、無意識のうちに携帯電話に注意を向けてしまう。脳が状況を監視しようとするため、睡眠はより浅くなり、邪魔されやすくなるのだ」

このことも問題だが、睡眠にとって最大の危険は、携帯電話の画面から放たれる光だ。同じMail Onlineの記事で、ハーバード大学の睡眠医学教授チャールズ・ツァイスラー氏は、この光は人間の体に備わる自然のリズムを妨げ、「今は昼間だ」と体に信じ込ませる働きをすると指摘している。

画面から放たれる光には、ブルーライト(高エネルギー可視光線)が多く含まれるが、この光は刺激作用が強いため、夜間に大量に浴びていると概日リズムが乱されるのだ。

サリー大学の神経内分泌学者デブラ・スキーン氏によれば、「網膜内の細胞はメラノプシンと呼ばれる感光色素を含んでおり、ブルーライトに対して非常に敏感であることがわかっている」のだそうだ。

だから、真夜中に目が覚めてしまい、携帯電話を触りたくてたまらなくなっても、そうしない方がいい。画面の光によって、睡眠はさらに妨げられることになるからだ。

ミシガン州立大学の研究者らが1月に『Organizational Behavior and Human Decision Processes』誌に発表した研究論文も、スマートフォンの利用と睡眠に関する従業員の習慣に注目している。

研究者らによれば、午後9時以降も仕事のためにスマートフォンを利用していると、夜間の睡眠の質が下がることがわかった。睡眠不足になるため、翌日に職場での仕事の質が下がる結果になったという。

「スマートフォンは、ほとんど完璧に、睡眠を妨害するように作られている」と、この研究を行ったミシガン州立大学の経営学准教授ラッセル・ジョンソン氏は、リリースの中で述べている。「スマートフォンは、夜遅くまでわれわれを精神的に支配し続ける。頭から仕事を切り離してリラックスし、眠りにつくことを難しくするのだ」

[(English) 日本語版:佐藤卓、合原弘子/ガリレオ]

ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています

関連記事