PRESENTED BY 三菱ケミカル株式会社

「子育てしにくい国、日本」返上なるか!?駒崎弘樹と語る、 三菱ケミカル のママ・パパの本音

育休明けの社員が転勤や配置転換を命ぜられたことが最近、複数の企業で発覚し、Twitterなどで「炎上」する事態に。育児中の社員に対する企業のサポートはどうあるべきか。
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育児と仕事の両立問題が改めてクローズアップされている。複数の企業で従業員が育休明けに転勤や配置転換を命ぜられたことが発覚し、Twitterなどで「炎上」したり、裁判にまで発展したりしたことは記憶に新しいだろう。

 「会社員なら転勤は当然」「男性が育休を取るなんて」。そんな価値観はもはや通用せず、社員の育児を手厚くサポートしなければ、企業は大きな「リスク」を抱えることになってきた。

 令和に合わせてアップデートされた育児と仕事はどうあるべきか。

「KAITEKI 健康経営」を掲げ、全方位的な働き方改革を進める三菱ケミカルのママ・パパ社員3人に、病児保育サービスを提供する認定NPO法人「フローレンス」の代表理事、駒崎弘樹さんが聞いた(以下、本文では敬称略)。

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駒崎弘樹さん 社会起業家/認定NPO法人フローレンス代表理事。2004年にNPO法人フローレンス設立
YUKI KATO
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光成和貴さん 三菱ケミカル三重事業所製造2部技術室所属。プラントの技術検討をしているエンジニア
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山内麻由さん 同本社高機能化学企画部所属。事業戦略や人材育成の企画に携わる。子どもは2歳8カ月の女の子
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山川朋子さん 同Science & Innovation Center Organic Material Laboratory所属。デバイス関連材料の研究開発に従事。子どもは10歳と7歳の男の子
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男性も育休を取ると子育ての大変さがわかる

駒崎:本日は働き方改革に取り組んでいる三菱ケミカルで、子育てと仕事を両立させていらっしゃるみなさんに育休取得前後や復帰後の悩み、不安、あるいはよかったことなどを語り尽くしていただきます。みなさん本社、事業所、研究所と職場も異なりますし、男性、女性で事情も違うのかなと思いますので、それぞれの立場でお話しください。

まずは、育児休職の話から始めますが、みなさんは育休を取るのに問題はなかったですか。

山内:私の職場は育休を取りやすい雰囲気だったので、問題はありませんでした。

山川:研究所では過去に育休を取得した女性の先輩研究者も多く、周りの人を含め、特に問題なく育休を取るようになっています。

光成:私が働いているのは事業所ですし、男性ということもあり、何となく取りづらい雰囲気はありました。そのため、上司以外には育児休職ということをあまりオープンにせず、連休に合わせた形で1週間の育休を取得しました。

上司は育休に前向きでしたので、取得すること自体には問題はありませんでしたが……。

駒崎:やはり男性が育休を取るのはまだ抵抗がありますか。

日本全体でも、男性の育休取得率はわずか6.16%(※1)ですからね。でも、どうして育休を取ろうと思ったのですか。

光成:他部署の先輩で育休を取得された方がいたのがきっかけです。

特に家族から要望があったわけではありませんが、私も取ってみようかなと。

以前は24時間稼働するプラントの操業管理の業務をしていました。何かトラブルが起きるとすぐに対応が求められる製造現場のど真ん中の部署だったので、その時だったら育休取得は難しかったと思います。

駒崎:職場にロールモデルがいるのは大きいですね。取得後はどうでしたか。

光成:子どもが夜泣きすると、妻と一緒に起きておむつ替えをするなど育児を分担したのですが、改めて育児は大変だと感じました。

自分が育休を取ると思っていなかったので、自分自身の育児に対する姿勢が変わりました。

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駒崎:女性お2人はいかがでしょうか。

山川:私は2人子どもがいますが、それぞれ約1年間の育休を取りました。

2人目の復職時、短時間しか預けられない慣らし保育のある月は、時短制度を使いました。実験が予定通り進まず、急きょ延長保育をお願いしたこともありましたが、夫にも家事を分担してもらい、なんとか乗り切っています。

駒崎:育児のワンオペにならずに済んでいるのは、素晴らしいことですね。

山内:私は10月に出産し、タイミングが悪くて保育園が見つからなかったので、1年半の育休後復帰し、その後1年間は時短を使いました。

今年度からはほぼフルタイムで働いています。フルタイムといっても定時で帰るので、限られた時間をどう使うか常に考えるようになり、以前より仕事の効率は上がったと感じています。

駒崎:戦略的に8時間をどう使うか、私も2人の子どもの父親ですから、常に頭を悩ませています。

でもそうやって工夫して何とか時間内に仕事を終わらせても、世間ではなかなか評価されないですよね。もう少しそういう努力も認めて欲しいなと思います。

山内:上司や周囲の理解もあり、仕事と育児のバランスについて色々と心配してくれます。

ただ、例えば会議の準備を事前にどこまで詰めておくか、その会議で何をどこまで決めるかなど、残業ができる社員と「温度差」を感じた経験はあります。

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子育て世代以外の意見も

駒崎:育休を体験して、改善した方がいいと感じたことはありますか。

山内:今はさすがに育休取得をダメという人はいませんが、育休は女性が取るものという先入観がまだあります。

育児だけではありません。子育て世代ではない男性ももっと家庭にコミットして欲しいですし、会社もそれを支援して欲しい。

本社でも男性の家庭進出は進んでいないので、事業所は相当難しいのではないでしょうか。

光成:事業所では、奥さんが出産された翌日に出社していた方がいるぐらいですから、やはり本社の雰囲気とは違うかもしれません。

男性管理職が育休をもっと取得すると、一般職の男性も取りやすくなるので、もっと奨励する、あるいは、いっそのこと男性の育休取得を必須にするぐらいして意識を変えてもいいかもしれません。

山内:一度、仕事と育児の両立について、人事の方が女性社員同士で話し合う場を用意してくれました。

ただ、何で女性だけなのかなと。似たような境遇の人が集まっても、「大変だよね、周りに理解されないよね」と、ただ愚痴り合って終わってしまいます。

両立について悩みはあるし不満も確かにありますが、男性も経営陣も子育て世代以外の方も、みんなそれぞれ言い分があると思うので、子どもを持つ女性社員だけでなく、色んな立場の人がしっかり話し合って理解を深める必要があると思います。

駒崎:女性の働き方の不満は、男性の働き方と表裏一体ですからね。

山川:私は、三菱ケミカルは保育園の企業枠を用意してくれるなど十分制度が整備されているし、職場は子育て中の先輩ママが多く、理解があると感じます。

要望といえば、子どもが小学生になると、授業参観や地域活動への参加など、一つひとつは短時間なのですが学校の用事が増えるので、時間単位で有休が取れるとありがたいです。

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光成:私は三重県の四日市市に住んでいますが、タイミングが悪く通常の申し込みでは認可保育園に入れませんでした。地域枠でなんとか入園できました。四日市にも企業枠があったら助かったと思います。

山内:あとは、子どもが熱を出した際など、会社で病児保育のサポートなどがあると助かります。

駒崎:三菱ケミカルが実践する「三菱ケミカルは決めました」(※2)の30の宣言についてはどう思いますか。

山川:「育児休職や介護休職等の経験は貴重な体験であり、昇格・評価等も含めた諸任用の際に、休職自体が不利に取り扱われることはしません」と明言してくれたことがありがたいと思っています。

光成:実際に不利な扱いはありませんでした。

山内:私は「テレワークを推進します」という施策で助かっています。以前は、テレワークの回数に制限がありましたが、今は週1回出社すればいいので、週1~2回は自宅やサテライトオフィスでテレワークしています。

山川:実験などさすがにテレワークでできない作業もありますが、活用している研究職もいます。

光成:事業所などの製造現場ではテレワークは難しいと思います。本社地区に比べると進んでいる項目はないのでは(笑)。

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育休を取ると社会人として一回り成長できる

駒崎:「三菱ケミカルは決めました」の宣言の中に、製造現場に関して、「災害ゼロを目指す」とか「受動喫煙を防止する」「しっかり休めるように要員配置を見直す」「トイレ環境を改善する」などがありますね。

光成:2020年4月からは就業時間中は禁煙となるのですが、タバコを止める人は増えてきました。

私の上司も止めましたし、喫煙率の高い現場のオペレーターの方たちも少しずつ止める人が増えています。

駒崎:「男性の育児休職または時短取得率100%を目指す」という項目もあります。

光成:すごいですね(笑)。三重事業所では育休を取った男性は、知る限り、私が見習った先輩しかいません。やっぱり管理職から率先して変えていって欲しいです。

山川:研究所では男性で育休を取るケースも時々ありますよ。

山内:本社でもいるのでしょうけれども、私の周囲ではあまり聞きませんね。

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駒崎:こうなると、光成さんが社内での男性育休のロールモデルになるしかありませんね。あと、私が感心したのは、事情があって一旦会社をやめた方、他社で経験を積んだ方の復職を歓迎する「ウェルカムバック制度」です。

山内:私の部署に、実際に戻ってこられた方がいます。

駒崎:掲げているだけでなく、実際にやられていて非常に立派ですね。

山川:実践が大事なのはもちろんですが、こうして制度が先行することで、職場の雰囲気が変わることもあると思います。

山内:正直、30項目もあるというのは、社内ポータルサイトで最近知りました。

山内:「KAITEKI健康経営」は、多様な人材がいきいきと働ける職場づくりが目的ですから基本的には社内向けの施策なのですが、社会的責任が大きい会社だと思っていますので、社外にもぜひ積極的にアピールして欲しいですね。

駒崎:社内ポータルだけでなく、今回の座談会を含めていろいろな形で伝わっていくといいですね。

こうしたさまざまな制度がある中で、みなさんのキャリアの展望はいかがですか。

子育てには保育園、小学校とフェーズがあって、それによって両立の仕方も変わってくるはずです。

山川:私は子どもが2人とも小学校に上がったので、保育園の送り迎えはなくなりましたが、毎日、食事の用意などが必要なので、急に出張というわけにはいきません。

その一方で、仕事のことを考えると、今後、研究開発もお客さまの生の声を聞きながら進める必要があります。

先輩ママたちの中には海外にまで飛んでお客さまに会いに行く研究者もおり、私も見習いたいです。将来そうするために、子どもの手が離れるまでは、知識と経験を蓄えたいと思います。

光成:今月末から保育園に入るのですが、朝は私が連れて行く役目です。子どもは突然、熱を出すこともあるので、その時の迎えも保育園に職場が近い私が行く場合もあり、業務に影響する可能性もあります。

これからは、今まで以上に余裕を持って業務スケジュール管理をしないといけないと思います。

山内:上の世代の方々は残業や飲み会など多くの時間を割いてがんばってこられましたが、みんながそうできるわけではありません。

私たちはあまり無理をせず、自分たちのペースでキャリアアップを描ける世代のロールモデルにならなければと思っています。無理をしても長く続きませんから。

現在の上司はそれを理解してくれていますが、そうでない考えの上司に代わったら、難しくなるかもしれません。制度も重要ですが、制度を運用する人の意識も同じくらい大事ですね。

駒崎:最後に今後、育児に直面する後輩たちへのメッセージをください。

山川:私は育休から復帰後、仕事と育児をどう両立するのか、将来はどうなるのかと不安がありましたが、先輩ママたちの話を聞いて参考になりました。

また、限られた時間の中で仕事をするという点では、周りの人とコミュニケーションをとることで、優先順位を付けて仕事に取り組むことができました。これから子育てをするみなさんにも周りの人とのコミュニケーションを大切にして欲しいと思います。

光成:男性の育休は世間でも話題になり、会社も推奨しているので、短期間でもいいから取ってみるべきだと思います。そうすると、自分と周りの意識も変わると思います。

妻は当初「大企業で男性が育休なんて取れるの?」と疑っていましたが、今は「家庭との両立を応援してくれるいい会社ね」といってくれています(笑)。

山内:会社を離れて子供と過ごすと、ものの見方も変わるし、会社の中にいては見えない社会の問題も見えてきます。仕事と育児の両立はいい経験ですし、育休を取ると社会人として一回り成長できると思います。(笑)。

駒崎:みなさん、本日はありがとうございました。

※1  厚生労働省「平成30年度雇用均等基本調査」より
※2「三菱ケミカルは決めました」:働き方改革を推進していくため、指標として定めた30項目を実行していくという宣言