ヒトの卵母細胞から紡錘体を取り出しているところ。
Credit: Center for Embryonic Cell and Gene Therapy of Oregon Health & Science University
ミトコンドリア置換技術(MRT)を使用することにより、病原性変異を持つミトコンドリアが母から子へ伝えられるのを防止できる可能性がある。S Mitalipovたちは今回、一般的なミトコンドリアDNA(mtDNA)関連症候群家系の女性の卵母細胞を用い、患者の卵母細胞から健康なドナー卵母細胞に減数分裂紡錘体を移植することにより、MRTの結果を調べた。
ドナーmtDNAは効率的に患者のmtDNAに取って代わり、ほとんどの胚に由来する胚性幹(ES)細胞で安定して維持されたが、ドナーmtDNAが失われるES細胞株もあった。解析から、mtDNAの多型は、優先的な複製に関連している可能性があり、特定の母系ハプロタイプの増幅の原因になる可能性があることが示唆された。
Nature540, 7632
2016年12月8日
原著論文:
doi:10.1038/nature20592
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