MISIAさん、反響を呼んだ紅白のパフォーマンスを語る。「“紅”と“白”の枠組みの中に入れない人もいる」【東京レインボープライド】

LGBTQの人たちへの共感を前面に打ち出したパフォーマンス。MISIAさんは反響から何を感じたのでしょうか

「“紅”と“白”の枠組みに入れないと感じる人もいると気づいた」――歌手のMISIAさんが、4月26日に行われた東京レインボープライドのトークイベントに出演し、大きな話題になった2019年の紅白歌合戦でのパフォーマンスについて語った。

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2019年4月10日、「天皇陛下御即位三十年奉祝感謝の集い」祝賀コンサートで歌うMISIAさん
TOSHIFUMI KITAMURA via Getty Images

2019の紅白歌合戦で、紅組のラストを務めたMISIAさん。

注目が集まるステージでは、ドラァグクイーンのダンサーたちと共演し、LGBTQのシンボルカラーであるレインボーの演出をした。また、出演者や観客にもレインボーフラッグを持ってもらい、会場全体を虹色に染めた。

LGBTQの人たちへの共感を前面に打ち出したパフォーマンスは大きな反響を呼び、SNS上には様々なコメントが投稿された。

MISIAさんは反響は「すごかった」と振り返る。その中でも、特に心に残ったのが、“紅”と“白”の枠組みの中に入ることができないと感じていたというコメントだったという。

「毎年紅白で、“赤が女性、男性が白”っていう二色の世界がある中で『じゃあ自分はどっちも入れないのかなって、とても寂しい気持ちで見ていたけれど今年は違いました』っていうコメントがあって。ああそうか、二色っていう部分に傷つけられた人はいたんだなあってすごく思いました」

「もちろん、割り切ってという言い方は変だけれど、あまりとらわれずに楽しむっていう人もいらっしゃいました。だけど、そういう風に(傷ついたと)思う人もいたんだなと気がつきました」

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2018年、台北のコンサートでのパフォーマンス
TPG via Getty Images

観客や出演者にレインボーフラッグを持ってもらったことも、大きなメッセージにつながったのでは、とMISIAさんは感じている。

「フラッグをやらせていただいたのは、NHKさんのご理解とご協力もあって。そして出演者で持っていただく方にはフラッグの意味を説明して、それで皆さん分かった上で振って下さいました」

「皆さんにちゃんとご理解とご協力をいただけたことは、『みんなで多様性を認め合って』という大きなメッセージにつながったと思います」

約20年前から、セクシュアルマイノリティのアーティストたちと一緒にパフォーマンスや曲作りをしてきたMISIAさん。

2017年には台湾のプライドパレードにも参加し、その時に見た、大勢の人々がLGBTQの人たちを応援する光景に圧倒されたと語った。

「すごかったです。(2017年は台湾で)同性婚が認められるっていう法案が通って、そのお祝いに駆けつけた形でのパレードだったんですけれど、沿道にたくさんの人が集まって、おめでとうという(メッセージを)持っていました」

2020年、世界的に流行した新型コロナウイルスは、LGBTQコミュニティにも大きな影響を与えています。「東京レインボープライド」を始めとした各地のパレードはキャンセルや延期になり、仲間たちと会いに行っていた店も今や集まることができなくなりました。しかし、当事者やアライの発信は止まりません。場所はオンラインに移り、ライブ配信や新しい出会いが起きています。

「私たちはここにいる」――その声が消えることはありません。たとえ「いつもの場所」が無くなっても、SNSやビデオチャットでつながりあい、画面の向こうにいる相手に思いを馳せるはずです。私たちは、オンライン空間が虹色に染まるのを目にするでしょう。

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