こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日の決算特別委員会では、下水道局への質疑が行われました。契約案件や公共下水道不正使用対策など多岐にわたる質疑を行いましたが、メインは都が実態の公表をしていない「簡易処理水(未浄化水)」についてです。
下水道局が運営する水再生センターでは、各地域より汚水が集められ浄化した後、河川や運河へ放水をされます。
ところが現在の下水道の仕組みは、トイレ・台所などの生活排水だけではなく、雨水も一緒に処理する仕組みになっています。
そのために雨天時にキャパオーバーした場合、本来浄化を行う反応槽を通さずに、一部の汚水を沈殿処理と塩素をまぜただけで「簡易処理水」と称して直接河川や運河に放水しているという現状があります。
この簡易処理水が排水基準を満たしておらず、河川や運河の汚染・悪臭の原因になっているのではないかと、一部で根強い疑惑が持たれているのですね。
芝浦水再生センターから年間100回以上に渡って簡易処理水を放出されている港区は、この簡易処理水の放流情報や水質情報の開示を求めているのですが、現時点で東京都は情報公開に極めて消極的です。
そのため、港区が平成25年に下水道施設の排水溝付近の水質調査を行ったところ、驚くべき結果が示されました。
環境省が定める海水浴場の判定基準は100ml中、大腸菌群が1,000個を超える水質は不適格とされていますが、港区の調査で出た大腸菌群はなんと100ml中240万個!
文字通り、ケタ違いの数値といえます…。
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こうした水質汚染の原因が「簡易処理水」ではないかと疑惑・不安を持たれている以上、都は簡易処理水の水質情報の開示を行うべきではないでしょうか(都は疑惑を否定)。
そもそも簡易処理水の水質基準をどのように測定しているのかと質問したところ、返ってきた答弁は↓
○大腸菌の消毒には薬品を使用しており、薬品は処理水中の大腸菌などを殺菌することで消費される。このため、過去の経験や実績により、放流水中に薬品が残っていれば、放流水が大腸菌の排水基準を満たしていると判断できる
○このことから、放流水中の薬品の残留を把握することで、放流水が大腸菌の排水基準を満たしていることを確認している
…大腸菌等の個数を測定しているわけではなく、薬品の残量で判定していると。まあこのやり方で測定をするにせよ、大事なことはデータの公開です。
実際の水量や投入した薬品量などの数値が公開されれば、専門的見地からこの妥当性を検証することができます。
そこで、この開示を求めた質問に対しては、
○これまでも晴天日に行った処理水の分析結果を定期的に当局ホームページにて公表しているが、今後は雨天日も含めた処理水の状況について、都民のみなさまにご理解いただけるような公表のしかたを引き続き検討していく
と、かなり前向きな答弁を引き出すことができました。この文脈の「検討する」は、公表されるのは時間の問題と考えて良いニュアンスでしょう。
昨年も同様の趣旨を同僚議員が追及したときに比べると、かなりスタンスが異なっています。小池知事が目指す「開かれた都政」は、こうしたところにも少しずつ浸透しているようです。
また水質だけでなく放水量についても、より都民がアクセスしやすい・理解しやすい形で公開するように要請を致しました。
参考に、どこに何が載っているのかわかりづらい下水道局のHP。
これで簡易処理水の放流情報については「ホームページ上で公開してます!」と言われても厳しいものが…デザインも10年前くらいを彷彿とさせます。。
ちなみにライバル(?)の水道局のHPはこんな感じ。
うーん、雲泥の差。ホームページでの情報発信のあり方について質問すればよかったなと、いまさら思ったり。
閑話休題。
都の河川や運河の汚染原因が何か現時点では判明していませんが、こうした情報公開が進むことで真相の究明に近づいていくと思います。
引き続き、今日の答弁が履行されるよう、下水道局の動向に注視していく次第です。
今日は少々マニアックな話になりましたが、それでは、また明日。
(2016年10月28日「おときた駿公式ブログ」より転載)