1/26、27の2日間、原発のない社会をめざす自治体議連「グリーンテーブル」の活動として、福島県南相馬市の視察に行ってまいりました。
桜井勝延市長や、南相馬市議会議員の皆様から伝わってきたのは、「あんたがた、それでいいのか?」という想いでした。
今回の視察では、まちの復興や放射能の除染について、具体的な話を様々学ばせていただきました。
しかし、そうしたことを伝えることも重要ですが、それ以上に今伝えなければならないことは、南相馬の「想い」だと痛感しました。
本記事では、桜井勝延市長や、南相馬市議会議員の皆様の言葉をご紹介したいと思います。
桜井勝延・南相馬市長
「歴史に学ばなければならない。自分の人生など歴史のほんの一部分」
「世界で最も有名な日本の自治体首長」かもしれません。
2011年のタイム誌「世界で最も影響力のある100人」に選ばれました。
東京都知事選に立候補した細川護煕さんの応援に駆けつけ、銀座数寄屋橋前で行なった応援演説は私も直接聞きました。鳥肌が立ちました。
「自分はいつも一般職員のバッジをつけている(上の写真)。市長のバッジなどつけたことがない。そんなのつけたら、職員と距離ができてしまう」
「『NO NUKE』のバッジもいつでもつけている。人によっては微妙な顔をされるが、変えない」
「偉くなろうとかじゃなくて、かっこよく生きる。それだけだと思うんですけどね」
「歴史に学ばなければならない。自分の人生など歴史のほんの一部分。脱原発すら歴史の一断面にすぎない」
「相馬藩の歴史に学べといつも言っている。過去にも相馬藩が津波の被害に会い人口が大きく減ったことがある。人口比で見れば今よりもひどい被害だったとも言える。そこから相馬は立ち上がってきた」
「東京は、福島を忘れようとしているのではないか。都知事選の際、銀座数寄屋橋で演説したときも、東京都民に対して、この状況に対する当事者としてアクションを起こさなくていいのか、これでいいのか、と問いかけた」
「去年のゴールデンウィークは、国会議員が誰も視察に来なかった。震災以来初めてというくらい、職員ともども、のんびりしたゴールデンウィークを過ごさせてもらった。
しかし、職員のほうから言ってきた。『市長、こんなことでいいんですか?!』と」
「細野豪志さんは原発事故のとき本当にがんばっていた。吉田所長と真剣に意見交換し、東電ともしっかり向き合っていた。
しかしその細野さんでも、原発に対してNOと言えない。岡田さんと細野さんはアメリカと対峙することを避けている。
アメリカに殺されたってNOと言えなければ、政治家ではない」
(農業復興について)「原発損害賠償があることで、普通の生業が回っていかない。不動産関係ばかりに投資がある。年間数百万の利益でやって来た方々にとって、数十年分の所得が賠償として入ってきてしまうというのが現実」
「復興のため、賠償はもらえるだけもらおうと思っているが、それは一側面にすぎない。この地域の復興ということを真剣に考えていけば、これでいいはずがない。寄らば大樹の陰では続かない」
渡部一夫(いっぷ)・南相馬市議会改革クラブ代表
「『閉じ込められている』のが風評被害ではないか」
渡部一夫市議は、諸々の経緯により2012年に衆議院に繰り上げ当選し、26日間ではありますが衆議院議員を務めています。
その26日間の経験により、様々な国会の実状がわかった、と語っています。
「政府は『福島の復興なければ日本の再生なし』などと言っているが、実際にはそうなっていない。『ここだけに収めてほしい』というのが政府・東電の本音ではないか」
「『閉じ込められている』のが風評被害ではないか」
「ここに住んでいる人がどれだけ冷遇されているかという視点がない。ここに住んでいる人に対して、もっと優遇した政策が展開されてもいいのではないか」
「企業が来ない。企業誘致をずっとやってきたが、さっぱり来ない。スーパー特区のようなことでもやらなければ来ない。東電が関連企業を張り付かせるくらいは当たり前だと思っている」
小川尚一・南相馬市議会議員
「すき家の時給が1,200円まで上がった。それでもバイトが来ない」
グリーンテーブルの活動に一番早くから参加していただいている南相馬市議。
多くの情報をいただき、また2013年の視察のときにも様々なご配慮をいただきました。
「農地除染は進んでいるが、農地を元に戻しても農業をやる人がいない。もともと兼業農家が圧倒的に多く、営農意欲が失われてしまっている。『米を作ったところで、買う人がいるのか?』と思っている人が多い」
「すき家の時給が1,200円まで上がった。それでもバイトが来ない」
「今、南相馬の全土にある、除染の結果出た放射性廃棄物の仮置き場。そこから中間貯蔵施設に廃棄物を運ばなければならない。延べ何百万台というトラックが必要になる。輸送ルートも問題になる。専用道路を作れという話が出てくるかもしれない」
人間は、見たくないものから目を背けます。
それは仕方がない部分もあります。
自らの精神の均衡を守るため、または自らの生活を守るため、無意識のうちにそのようにするのは、ある程度仕方がありません。
しかし、少なくとも政治家がそれではいけないでしょう。
逃げてはいけません。
目を背けてはいけません。
せめて、直視し、考え、行動し続けなければ。
そして、有権者に訴え、ご判断をいただかなければなりません。
3.11で、私たちは賢くなれたのでしょうか。やさしくなれたのでしょうか。
■資料「南相馬市の現況と復興に向けた課題」もぜひご覧ください!
南相馬市役所でいただいた資料「南相馬市の現況と復興に向けた課題」を、私のHPで公開しています。
板橋区議会議員 中妻じょうた :: 資料
1/20に作成された、できたてホヤホヤです。
震災発生・原発事故発生時の経緯から、復興の最新状況まで見渡せる、たいへんわかりやすい資料です。
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