物忘れはこれまで、老化現象のひとつとみなされてきた。たとえば、車のキーなどの置き場所を忘れてしまうと、「物忘れをする年齢になったね」と言われるのが普通だ。だが、この通説とは異なる新しい調査結果が発表された。
「The Trending Machine」が全米で行った世論調査によれば、(2000年頃に成年となった)「ミレニアル世代」とも呼ばれる18歳~34歳までの人々は、55歳以上の人々と比べて、物忘れの傾向が強かったのだ。
具体的には、今日の曜日(15%対7%)、鍵の置き場所(14%対8%)、昼食を取ること(9%対3%)。お風呂またはシャワーを忘れた人の割合もそうだ(6%対2%)。55歳以上の人々の方が18歳~34歳までの人々より忘れてしまう割合が高かったことは、人の名前(16%対23%)だけだった。
全体としては、米国人の3分の2(39%)が、1週間に少なくともひとつの日用品について、置き場所を忘れたり間違えたりしている。
The Trending Machineが発表した声明の中で、家族療法士のパトリシア・グッテンタグ氏は、年齢層による違いをこう説明している。「われわれの調査では、若年成人の方がADHD(注意欠陥・多動性障害)診断のスコアが高かった。この世代は、テクノロジーとマルチタスクが特徴的な人たちであり、それに睡眠不足が重なった結果、物忘れの度合いが高くなっていると考えられる」
さらにグッテンタグ氏は、ストレスと物忘れの関係も指摘している。「ストレスは、物忘れ、気分の落ち込み、それに判断力の低下を引き起こすことが多い」
男女別に見てみると、女性は男性と比べて、日用品の置き場所を忘れたり間違えたりする割合が高かった(43%対31%)。ワークライブバランスの問題によるストレスに加えて、家計の責任が増したことが大きな負担になっていると見られる。
また、地域によってもストレスの度合いが異なるようだ。北東部で物忘れをした人たちの割合は、のんびりした西部に住む人たちと比べて高くなっている(51%対39%)。
[Shelley Emling(English) 日本語版:佐藤卓/ガリレオ]
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