ゴルバチョフ氏が出演した1998年ピザハットCM、死去で再び注目集まる

孫と一緒にピザを楽しむゴルバチョフ氏。それでもカメラの前でピザを食べることは拒んだといいます

旧ソ連最後の最高指導者だったミハエル・ゴルバチョフ氏が8月30日、死去した。ロシアのタス通信などが伝えた。

旧ソ連の民主化を進め、冷戦を終結に導いたゴルバチョフ氏。死去のニュースが報じられる中、彼の偉業の一つとも言える、1998年のピザハットCMに再び注目が集まっている。

<ゴルバチョフ氏が出演したピザハットのCM>

研究財団の資金集めで出演

CNNの1997年の記事によると、ゴルバチョフ氏は自身の名前を冠した研究財団設立の資金集めのために、コマーシャル出演に同意した。

「私は今、図書館とペレストロイカのアーカイブを作っており、このプロジェクトのために、基金が必要なのです」とゴルバチョフ氏はコメントしている。

「ペレストロイカは、ロシアや世界を勢いづけました。起きたことすべてを、この2つの場所に保存するのはとても重要です」

この時、ゴルバチョフ氏は出演料を明かしていないが、ニューヨークタイムズは関係者の証言として、100万ドル近くが支払われたと報じている。

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ソ連人民代議員大会でスピーチするゴルバチョフ氏(1991年9月4日)
Wojtek Laski via Getty Images

孫が一緒に出演した理由🍕

CMでは、ゴルバチョフ氏が孫のアナスタシアさんと一緒にピザハットでピザを楽しむ風景が映しだされる。

ゴルバチョフ氏に気付いた店内の客が、彼の功績について議論。

賛否両論が飛び交う中「彼のおかげで、私たちはたくさんのものを手に入れた……このピザハットのように」という一言ですべてが丸く収まり、客達がゴルバチョフ氏を讃えるというストーリーだ。

CMでは歓迎されたゴルバチョフ氏。しかしニューヨークタイムズによると、同氏は当時ロシアでは人気がなく、モスクワで撮影されたこのCMも国内では放映されなかった。

また、フォーリン・ポリシーの2019年の記事によると、ゴルバチョフ氏は出演に同意したものの、カメラの前でピザを食べるのを拒んだ。

「元指導者として、どうしてもできない」と譲らず、最終的に孫が食べることで、ピザハットは妥協したという。

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(左から)ゴルバチョフ氏の孫のアナスタシアさん、娘のイリーナさん、ゴルバチョフ氏(1999年11月8日)
picture alliance via Getty Images

冷戦の終わりを伝えるCMになった

ゴルバチョフ氏は2007年には、ルイヴィトンの雑誌広告にも出演した。この時には、崩壊したベルリンの壁を車の中から眺める同氏の姿が使われた。

歴史に大きな影響を与えたゴルバチョフ氏。SNSでは、死去のニュースが伝えられた後、多くの人たちがピザハットのCMを投稿し、さまざまな思いをコメントしている。

ツイート:このミハエル・ゴルバチョフのピザハットCMのことを、いつの日か歴史家たちは冷戦の本当の終わりとなったというだろう。傑作だ

ツイート:私たちの世代は、ゴルバチョフがピザハットのCMに出ているのを見て共産主義が終わったと感じた。ゴルバチョフにとって、最後の数十年はとても孤独で奇妙だったに違いない

 

そんな中、ピザハットのCMに出たリーダーはゴルバチョフだけではないと指摘する人もいる。誰かって……? 

ツイート:ゴルバチョフのピザハットCMをたくさんの人がリツイートしているけれど、トランプも出てたの知ってた?

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。